大学生の退屈しのぎ

底知れぬ音楽と映画と文学と...

ネオアコにハマるきっかけを作った私的名盤10選

ネオアコとは?

ネオアコとは、ポスト・パンクの流れから派生した音楽ジャンル/スタイルのひとつ。ネオ・アコースティック (neo acoustic) の略称。なおネオアコネオ・アコースティックも含む)と言う言葉自体は和製英語であり、欧米では通用しない言葉である。(https://ja.wikipedia.org/wiki/ネオアコ

 

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1.Felt「Crumbling the Antisepic Beauty(美の崩壊)」

Evergreen Dazed

Evergreen Dazed

  • Felt
  • アダルト・アルタナティブ
  • ¥200
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Televisionのトム・ヴァーレインに憧れたローレンスというひねくれ詩人によるネオアコバンドです。個人的にネオアコと言われるバンドの中だったらダントツで一番好きなバンド。

憂鬱で内省的な歌詞と、暗くて冷たいネオアコサウンドに心を掴まれる人はきっと一定数いるんじゃないかと思います。僕は初めて聴いた時、もともと自分の中にあった音なんじゃないかってくらいしっくりきたのを今でも覚えている。。

オススメの一曲はこのアルバムの一曲目でもある「Evergreen Dazed」

憂鬱で内省的な歌詞が魅力だと言っておいてこの曲には詞が無いんですが、この曲は死の匂いを充満させたような曲です。ちなみに詞がある曲だったら4曲目のCathedralがオススメ。

Cathedral

Cathedral

  • Felt
  • アダルト・アルタナティブ
  • ¥200
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2.Everything but the Girl「Eden」

 

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ネオアコ名盤の代名詞のようなアルバム。喫茶店とかで流れてそうな曲が多いです。

ジャズとロックの架け橋のようなアルバムなんじゃないかと個人的には思います。僕はそんなにジャズに詳しくないんですが、それでもこのアルバムはとても聴きやすかったです。

独特で不思議な雰囲気を持つ屈指の名曲「Each and Every One」、優しく明るいギターポップの「Bittersweet」、落ち着いていて喫茶店で絶対一度は聴いてそうな曲の「Tenderblue」の流れがすごく好き。

 

 

3.Belle and Sebastian「tigermilk」

 

 

グラスゴーが誇るベルセバの記念すべき伝説のデビューアルバム。

元々1000枚限定リリースの幻のアルバムでもあります。

 

「Dear Catastrophe〜」辺りからかなりポップで聴きやすくなるんですが、僕はこの初期のインディー感満載のこのアルバムが好きです。

荒削りだけど繊細で、明るそうに見えて陰鬱な感じと言うんでしょうか。

オススメはまず1曲目「The State I Am In(邦題:僕はこんなさ)」は素朴で優しいギターポップだけど、「僕の弟がやってきてゲイだとカミングアウトした それは妹の結婚式の日に知らされた」なんて、歌詞を調べたら衝撃的だったのを覚えてます。

「She's Losing It」とか「You're Just A baby」も好きなんですが、僕はこのアルバムの中だったら「I Don't Love Anyone」が大好きです。

UKロックっぽい甘く優しいメロディーがグッとくるのと「僕は何も愛さない たとえそれがクリスマスでも」とか「もし僕が一つ学んだことがあるとすれば その時はまだ子供だったけど 何も愛してないなんてことは隠しているべきなんだ」なんて青年独特のイライラが混じったような詞の世界観も好きです。

 

 

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4.Orange Juice「You Can't Hide Your Love Forever」

 

Falling and Laughing

Falling and Laughing

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水しぶきとイルカの爽やかさ満載のこのジャケットが有名のこのアルバム。

ネオアコの名盤といえば必ず掲載されていると思いますが、優しいネオアコを想像して聴くと、少し違うかもしれないです。

一曲目「Falling and Laughing」はリズムとかコーラスがソウルっぽさもあります。僕が初めて聴いた時に思ったのは、いろんなジャンルのいいところを凝縮して全く新しいものができたような感じでした。

クリーンなギターで少し落ち着いた雰囲気(でもキャッチーとは言い難いような)「Untitled Melody」、パンキッシュなネオアコソング「Tender Object」など、ひと味違った音楽に出会いたいと思ったら聴いてみてほしいです。

 

Untitled Melody

Untitled Melody

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Tender Object

Tender Object

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5.Aztec Camera「High Land, Hard Rain」

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Orange Juiceと並んでネオアコの代表バンドとされるAztec Cameraことロディ・フレイムのファースト・アルバムです。

 

このバンドはよく青春とかエヴァーグリーンなんて言葉で言われてます。エヴァーグリーンという言葉が僕はいまいちわからないんだけど、とにかく爽やかでオレンジ・ジュースよりはとっつきやすいんじゃないかと思います。スミスが好きなら特に。

 

力強いアコースティックギターの「Obvilious」、個人的に終わり方がグッとくる二曲目「The Boy Wonders」、そして何と言ってもこのアルバムの肝となる曲「Walk Out to Winter」。

この曲の「ジョー・ストラマー(クラッシュのフロントマン)のポスターが壁から剥がれ落ちて、後に飾るものは何もない」という歌詞がすごく印象的でした。パンクムーブメントが失速しだした時代を生き、その流れを汲んだネオアコというサウンドをやった彼らだからこそ出てきた言葉なんじゃないかと思います。

 

Walk Out to Winter

Walk Out to Winter

  • アズテック・カメラ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

僕が個人的に好きなのは4曲目「The Bugle Sounds Again」。こんなタイトルにもかかわらずサウンドはいたってシンプルで、クリーンなアコースティックギターがメインでです。ラッパの面影なんて全然ない。

 

The Bugle Sounds Again

The Bugle Sounds Again

  • アズテック・カメラ
  • ロック
  • ¥250
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6.XTC「Skylarking」

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XTCの通算8枚目のアルバム。最高傑作との呼び声も多いです。

このアルバムはザ・バンドダリル・ホール&ジョン・オーツを手がけたトッド・ラングレンがプロデュースしたことでも有名です。

 

77年というパンクムーブメント真っ最中にデビューしたポップ界のひねくれ者バンドXTC。曲と曲のつながりがスムーズすぎて、アルバムを通して聴いていると初めの頃はどこからが次の曲なのかわからなかった覚えがあります。

 

僕が個人的に好きなのは自分を振った相手のことを壮大に皮肉っているアルバム4曲目「That's Really Super, Supergirl」です。以下サビの部分ざっくりですが訳しました。

 

本当にお見事だよ、スーパーガール

たった2秒で自分自身を助けるなんて

君の友達は言うだろう

すごいよ、スーパーガール

世界の天候を変えてしまうなんて、と

でも君は僕らの関係を元に戻すことはできなかったね

僕はまるで君が作った孤独の要塞に深く繋がれてるみたいだ

君には悪いけど

僕の気分は最悪だよ、スーパーガール

 

自分を一人にした女の子に対して強烈に「僕を一人にするなんて自分勝手すぎる!」と嘆いてる曲(笑)

これがポップなんだかそうでないのかようわからんメロディーに乗ってるんだからひねくれ者だと言われても仕方なさそう。。痛快で大好きな一曲です。

 

youtu.be

 

7.Prefab Sprout「Steve McQueen」

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このアルバムは85年発のセカンドアルバム。レコード屋でかかっていて思わず一目惚れ(?)したのを覚えてます。ジャケもかっこいい。

ちょっと古臭い青春の味がするような一曲目「Faron Young」はアップテンポの曲だが、爽やかなギターと透明感のある声が重なって激しさみたいなものはなく良い意味で軽い。

歌詞も面白くて、サビでひたすらに「君は朝の4時にFaron Young(実在のアメリカのシンガー)を聴かせる」「朝の4時にFaron Youngなんて勘弁してくれ」と繰り返してます。朝にこれを聴きながら自転車漕ぐととても気分が良いのでオススメです。

 

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8.Max Eider「The Best Kisser in the World」(キス上手)

 

My Other Life

My Other Life

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ジャズ・ブッチャーのギタリストによる87年のデビュー作。ちょっとラテンっぽいというか南国っぽいというか、87年とは思えないほど良い意味で古臭さも残っているような音楽。メロディーも正直、甘くキャッチーな感じよりは少し尖っているような印象さえ受けます。特に一曲目の「My Other Life」はそう。ただこのコードのマイナー感が個人的にはとっても気持ちが良くて好き。後この畳み掛けるようなボーカルも良い。ネットサーフィンで見つけて、なんてかっこいんだろうと思った記憶があります。全曲捨て曲なしです。

 

9.THE ORCHIDS「Lyceum」

 

It's Only Obvious

It's Only Obvious

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ネオアコの名盤と言われているものは結構ラテンぽかったりするものが多いですが、このアルバムは全体的に素朴なギターポップの曲が多いのでそういうのを求めている方にはピッタリかもしれないです。

一曲目の「It's Only Obvious」はネオアコ屈指の名曲。インディーロック、オルタナとか好きな人がはまるような気がします。ボーカルの歌い方がどことなくFeltっぽい。。個人的には「The York Song」と優しいコーラスが特徴的な「Carrole-Anne」も好き。

  

 

The York Song

The York Song

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Carrole-Anne

Carrole-Anne

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10.Another Sunny Day「London Weekend」

 

Anorak City

Anorak City

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最後の一枚はこれです。93年サラ・レコードからリリースのAnother Sunny Day唯一のアルバム。

キラキラしててノスタルジックなギターポップを集めたナンバーが多いです。「What's Happened to You, My Dearest Friend?」なんかはスミス感満載。

一曲目「Anorak City」、アノラックというのは日本で言ういわゆる「オタク」みたいなちょっと軽蔑を含んだスラングとかでも使われるし、80年代のグラスゴーを中心に発展したインディーロックのムーブメントとしても使われる言葉。イギリスの鉄道オタクがアノラックをよく着ていたことから由来したらしいです。

個人的なオススメは一曲目「Anorak City」の他に「I'm In Love With a Girl Who Doesn't Know I Exist」、「You Should All Be Murdered」、「Green」。

ちなみにサニーデイ・サービスのバンド名はこのバンドから取られたらしいのでサニーデイ・サービスが好きな人にも是非聴いて欲しいです。

  

What's Happened to You, My Dearest Friend?

What's Happened to You, My Dearest Friend?

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映画「さよなら、僕のモンスター」ネタバレ感想 あの頃一番恐ろしかったものとは?

さよなら、僕のモンスター

youtu.be

 

監督:ステファン・ダン

出演:コナー・ジェサップ、アーロン・エイブラムス

 

簡単なあらすじ

メイクアップーティストを目指す高校生のオスカーは、怒りっぽいが愛情深い父と暮らしながら、女優志望の友人ジェマとともに作品作りに没頭する日々を送っている。ジェマとはなんでも話せるけれど、恋人ではない、微妙な関係。 ある日、バイト先にワイルダーという青年が入ってくる。つかみどころがなく、どこかミステリアスで自由気ままに季節を謳歌するワイルダーを目にするたび、オスカーの中に生まれる鈍い痛み。それは彼が誰にも言えず、そして認めないようにしてきたある"気持ち"だった―。(Filmarks)

 

 

グザヴィエ・ドランデヴィッド・クローネンバーグに匹敵するなんて書いてあったのでドラン作品が大好きだった僕は早速観ました。

結論から言って、この映画は素晴らしいです。賛否あるみたいですが、僕はそう思いました。

観たのが19歳の時だったのでそんなに遠くもない高校時代のことを思い出していたんですが、あの頃抱えていた漠然とした不安や恐怖の正体ってなんだったんだろう??僕はどうして自分自身でいることを諦めていたんだろう??と突き刺さるような思いでいっぱいでした。学生時代に暗いトンネルにいたような人になら、きっとこの映画は届くと思います。

 

 

 

あらすじ① 幼少期に植えつけられるトラウマ

 

幼少期のオスカーは内気な少年だった。父のピーターはオスカーには優しかったが、母親には喧嘩の延長で暴力を振るうこともあった。

オスカーは誕生日にハムスターのバフィーをもらい、以来自分の悩みを打ち明けるようになる。(この映画ではハムスターのバフィーは話す)

 

母は父とうまくいかずある日突然出て行く。引き止めるオスカーに「捨てるわけじゃないのよ。隔週で会えるから」と言った。オスカーは以来父と二人暮らしになる。

 

ある日オスカーは学校で女子二人に「爪に何かついてるよ」と言われ、手の甲から爪を確認すると笑われる。「手の甲から確認するのはゲイの証。ゲイじゃない人は指を折り曲げて確認するのだ」と女子たちは言う。

 

オスカーはその日、学校でいじめられている少年を見かけた。助けようと思って後を尾けるが、結局怖くて物陰に隠れて見ていた。そしてその少年が集団でリンチされ、鉄の棒のようなものがお尻に刺さって倒れてる姿を見てしまう。

 

家に帰るとそのニュースがちょうど報道されていた。少年は死には至らなかったものの、下半身麻痺になっているようだった。

オスカーが父に「なぜあんなことを彼はされたの?」と聞くと父は「それは彼がゲイだったからだ」と答える。そして「お前も髪を切らないと危ないぞ」と。

 

 

あらすじ② 本当の自分を押し殺して生きる高校生活

 

オスカーは高校生になり、メイクアップアーティストになるために夢中だった。友達以上恋人未満の女の子、ジェマに特殊メイクをして、彼女をモデルにして写真を撮り続ける毎日を送っていた。

 

オスカーは特殊技術の道具を調達する目的でホームセンターでバイトを始めた。そこでオスカーはワイルダーという自由奔放な青年に出会う。制服シャツを忘れた彼にオスカーの制服を貸してあげたことで二人は知り合い、オスカーはそんなワイルダーに一目惚れしてしまう。

 

制服を返してもらったオスカーはそのシャツに顔を埋め、ワイルダーのことを想う。

そしてそのままトイレへ向かいワイルダーのことを考えてしようとするも、頭には幼い頃見たリンチされた少年が浮かぶ。ふと自分のお腹を見ると、そこにはあの鉄の棒が刺さっていた。(という幻覚を見る)

 

バイト帰りにワイルダーはオスカーを車で家に送ってくれていた。その時にオスカーが自分の両親が離婚したことを言うと、ワイルダーは「自分の両親もそうだからわかるよ」と言ってくれる。

 

ワイルダーはオスカーのツリーハウスに興味を持ち出し、見せてくれと言う。

ワイルダーはツリーハウスでバフィーを見ると、オスカーがバフィーをメスだと言っているのを訂正し「こいつはオスだ。タマが付いている」と言う。

その会話の後、低い声で話そうか高い声で話そうか迷っているバフィーは「ジェンダーがこんがらがったみたい」とオスカーに言った。(バフィーの言葉は男性に惹かれ戸惑っているオスカーの言葉でもある)

 

父はジェマにこっそり会った時に「オスカーと付き合っているか」と聞く。ジェマは「彼が言ったの?」と言いごまかしているが父は「つまり息子は...(ゲイなのか)」と続けて聞こうとしていた。ジェマは何かを悟ってはぐらかし答えない。

 

 

あらすじ③ 挫折と孤独を味わうオスカー

オスカーはバイトにも身が入っておらず、人員削減のためにクビになってしまう。

一緒にクビになったワイルダーがバイト帰りにベルリンに数ヶ月行くことをオスカーに告げる。そしてそのための仮装パーティーに良かったら来ないかとオスカーを誘う。

 

家に帰ると願書を送っていたメーキャップ・スクールから不合格通知が来ていた。オスカーはひどく落胆してしまう。

 

オスカーが母の服を着て仮装パーティーに行こうとしていると、父がやってきて「何をしているんだ」と言われる。「仮装パーティーに行く」と言うと、「オカマの集まりに行くんじゃない」と言われる。オスカーはそんな父をオスカーはクローゼットの中に突き飛ばした。

 

ワイルダーの仮装パーティーに到着したオスカー。自分をメイクしてくれた女の子に「ベルリン行きの空港券はいくら?」と聞くと「ワイルダーが行くって言ったの?彼はモントリオールで両親と暮らすのよ」と言われる。(両親が離婚していたと言っていたのも、ベルリンに行くのも嘘だと判明)

 

オスカーはハイになりワイルダーのことしか見えていないが、ワイルダーは他の女の子と踊っている。そしてキスしているところまで見て更に落ち込んでしまう。

そのショックもあり声をかけられたアンドリューという男と踊っていたが、一人でトイレに向かってしまう。しかしアンドリューは追ってきて背後からオスカーを犯す。その時にまたもや思い出すのは公園でリンチされていたあの少年だった。

オスカーはトイレで吐いてしまう。その吐瀉物は大量の釘に見え、自分の腹のなかでも何かがうごめいているように感じる。そしてそのまま気絶してしまった。

 

倒れて吐いているオスカーを起こすワイルダー。警察が来たので逃げようと言う。

ツリーハウスに移動し、同じベッドに横になるとワイルダーは「いつから男が好きだった?」とオスカーに聞く。「わからない」と答えると、「もし友人の俺がキスして腹のなかで何か感じたらわかるよ」と言い、ワイルダーはオスカーにキスをする。

「何か感じた?」とワイルダーが聞くと「わからない」とオスカーは答える。「俺は何か感じた」と笑いながら答えるワイルダー

そして二人は手を繋いでそのまま眠った。

 

 

あらすじ④

朝オスカーが起きるとワイルダーはいなくなっていた。残っていたのは「行くよ。ニューヨークで頑張れ」という手紙だけだった。

 

母親の家に窓ガラスを割って押し入るオスカー。「俺は悪いやつなの?」「なんで独りぼっちなんだ?」とワイルダーが行ってしまった寂しさもあり、感情が抑えきれず母親にぶつけた。オスカーは母親が自分を捨てて新しい家族と人生を手に入れたことを責めた。

母は「それはフェアじゃないわ」と言ってからこう続ける。「あなたはそういう子よ。この先もきっと楽じゃない。クソまみれの人生なら強くなるしかない」

 

オスカーと母が家に戻ると家の中が荒れていた。そしてハムスターのバフィーが家のどこにもいないのに気がつく。

オスカーは外に出てバフィーが死んでいるのを発見する。オスカーが出てった夜、父はイライラしてハムスターを殺してしまったのだ。母は父を「これが父親のすることなのか」と攻め立てるが、オスカーは死んでいるバフィーを見て呆然とする。父は母に暴言を吐いて喚き散らしていた。

 

バフィーを飼っていたケースの中から子どもの頃、リンチされていた少年を助けるために持っていた棒を発見する。そして自分のお腹を見ると深く鉄の棒が刺さっていた。オスカーはそれを取り出し父親に殴りかかろうとする。

 

しかしオスカーは父親のことは殴らず横の椅子を壊す。そして家の中に入った父親を鉄の棒をドアにはめて閉じ込める。

 

オスカーは母親の新しい家族に看病される。ニューヨークの学校に落ちたことを母親に言うとフォーゴ島の短大にアーティストの居住エリアがあることを教えてもらう。

 

オスカーはたった一人でフォーゴ島にいた。そしてそこで一緒に連れてきたバフィーを船に乗せ海に浮かべて別れを告げる。「君は幸せそう」だとバフィーは言い、こう続ける。「言っておくけど、最初のハムスターじゃない。だって10年だよ。君の両親が4回も替えた」

 

目を閉じて眠る時、父親の幻覚を見る。「ねえ、夢が見たい」と幼いオスカーは言った。その中で父親は「ねだるような歳じゃないだろ。自分で夢を作れ。なんでも手に入れられる。愛してる。お前は俺の誇りだ」と言う。

 

たった一人でその言葉を胸に決意を新たにしオスカーは目を閉じた。

 

 

感想① もう一人の自分「バフィー」を通して自分と向き合う主人公

 

この映画を観てまず、ハムスターのバフィーが喋ることにびっくりした人は多いと思います。

もちろん、バフィーの言葉はオスカーの生み出した言葉です。ポイントはバフィーがオスだったことが判明した後に言ったジェンダーがこんがらがったみたい」という言葉。あれは男性を好きになり、自分の恋愛対象が男性であることに気づき始めた自分に対して本当に「普通の男」なのか...?と疑い始めているオスカーを投影したものです。

 

バフィーと対話することを通して自分と向き合い始め、自分の変化をからかいながらもずっと見ていたバフィー。ラストシーンでのそんなバフィーとの別れはオスカーが自分自身に対して迷うことからの決別の意思なんだなあと思うとかなりグッとくるものがありました。

 

原題がCloset Monster(in the closetでゲイであることを隠しているという意味だが、この場合はその意味だけじゃなく自分を押し殺しているという意味もありそう)とあるように、結局一番恐ろしいことは自分で自分を認められないことです。

オスカーは恋愛も成就せず、夢にも敗れるけど最後にはトラウマを克服し、ゲイであることを認めてくれなかった父親を封印し、(だからあえて殴るのではなく、家に閉じ込めたんだと思う)自分で自分を認めることができました。そして新たな方法で自分の夢に挑戦して行くことを選んだから、「さよなら、僕のモンスター」という邦題がつけられたんだと思います。

 

感想② 父親の性格の複雑さ

よく映画である「こいつは悪い奴」「こいつはいい奴」みたいな人間が簡略化されてる描き方がこの映画になかったのも良かったです。この映画は出てくる登場人物の描かれてない部分の背景まで想像してしまうような、いわゆる血の通った人間を丁寧に描いた映画でした。

 

そういった安易な人物描写を全然していないのが父親の存在に特に出ています。父親は酒癖が悪く癇癪持ちだけど、幼かったオスカーにとても優しく接していたし、バフィーが死んでも、オスカーに内緒でこっそり取り替えるようなそんな一面もあったわけなんですよね。だけどそのバフィーをイライラすれば殺してしまったり。

 

愛情を持っているのか持っていないのかも不明だけどここら辺の人間特有の曖昧さがこの映画に深さを出していると思うし、ドランに似てると言われているのはまさにここなんじゃないかと思う。演出の雰囲気ももちろん近かったですが。。

 

 

感想③ ワイルダーの嘘

 

ワイルダーは大きく三つの嘘をこの映画でついています。

  • 両親と離婚していると言ったこと
  • ベルリンに行くと言ったこと
  • オスカーにキスした時に「何か感じた」と言ったこと。

 

オスカーに合わせて両親が離婚していると言ったり、その嘘を隠すためにさらに上塗りするかのようにベルリンに行くと言ったり...。(本当は両親とモントリオールモントリオールで暮らす)

 

ワイルダーが嘘をついたのは映画的に奥行きや味を出すためだと思ってました。日常生活でも時々、自分に大したメリットもないような嘘をついてしまったりすることがあるので、現実に近づけるためにそんなことをしたのかなーと。。

 

ただ三つめのオスカーにキスをした時に「俺は何か感じた」と言ったのは優しさでついた嘘だと思います。

 

多分、ワイルダーはオスカーの好意に気づいてます。それもかなり早い段階から。そしてその気持ちに先回りして嘘をつくようなところがあったんじゃないでしょうか。オスカーのことは友人として大切に思っていて、その好意に自分なりにキスという形で応えたんだと思います。

 

オスカーもオスカーでワイルダーが自分に気を遣ってることも気づいています。だからワイルダーが好きなのに、確信に迫ることを聞かれても「わからない」と言ってばかりで答えられないのです。

 

 

感想④ トラウマを象徴する鉄の棒や釘

 

オスカーは男性に惹かれることを自覚するたびに鉄の棒の幻覚を見ました。それはお腹の中でうごめいていたり刺さっていたり、かなりグロテスクですが、それくらい痛みを伴うトラウマとして幼少期の頃見た少年のことは残っていました。

 

 

だからこの映画の最後で自分のお腹に血まみれで刺さっている鉄の棒を抜いて父親に向かって行くことは「トラウマからの解放」を意味します。しかし、オスカーが父親を殴らなかったのは鉄の棒(自分のトラウマの象徴)で自分が誰かを傷つけるような真似はしたくなかったということなんだと思いました。そしてオスカーはそれで父親を閉じ込め、ゲイであることを否定する父親に打ち勝ったのです。それもかつては自分に刺さっていた鉄の棒を使って。

 

自分を閉じ込める場所であるクローゼットに父親を突き飛ばしたり、自分のトラウマだった鉄の棒で父親を家に閉じ込めたりなど、この映画ではそんな自分を苦しめていたものを使って反逆して行くという場面がたくさんあったのが良かったです。

 

結局好きだったワイルダーもいなくなり、夢にも敗れたけど自分自身のトラウマには打ち勝ち、新たな人生を開拓するというラストはだからこそとても感動的でした。本当に、めちゃくちゃ泣けた。。

 

まとめ

 

この映画はちょっと難解だったので実はもう4回ほど観てますが、観るたびに発見があって面白いです。賛否あるみたいですが、僕は映画だからって現実と切り離せない、自分の人生にも通ずるような希望が見れたのが物凄く良かったです。

 

「さよなら、僕のモンスター」が好きだった方にはこちらも合わせてオススメです。こんな感じの少年少女の感情に寄り添った映画が多めに集めたので良かったら!

 

www.neatnobibouroku.info

 

  

 

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復讐に燃える魂!映画「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」(2010) あらすじとネタバレ感想

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)

 

監督:スティーヴン・R・モンロー

出演:セーラ・バトラー、ジェフ・ブランソン、ダニエル・フランゼーゼ、ロドニー・イーストマン、チャド・リンドバーグ、アンドリュー・ハワード、トレイシー・ウォルター

 

 

「ケダモノども、地獄へ堕ちろ」という過激なキャチコピーで有名なこの映画。

実は続編も何作か出ているちょっとしたヒット作です。

元々は「発情アニマル」という1978年に公開されたリベンジものの映画のリメイクです。

 

ざっくりとしたあらすじは、森のロッジで一人で執筆活動をしている作家のジェニファーが男たちに集団レイプされ、その仕返しをすると言う話。

 

この仕返しがまた凄まじく、スカッとしつつも分類としてはトーチャー・ポルノに入るんでしょう。胸糞映画だとも言われています。

 

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前半のあらすじ

 

作家のジェニファーは集中して執筆活動に取り組むため人里離れたロッジに向かっていた。

その途中のガソリンスタンドで男たちに出会う。仲間の一人、ジョニーという男はジェニファーを口説こうとするがジェニファーは軽くあしらい、相手にしなかった。

 

いよいよロッジに着き、執筆を始めるが何だか不穏で集中できない。挙句トイレが壊れたりその中にスマホを落としてしまう。そこにトイレ修理に向かったマシューはスタンドにいたジョニー、スタンリー、アンディーの仲間だった。

 

マシューはトイレ修理のお礼にジェニファーにキスされる。ジョニーたちにマシューがそれを言うと、ジョニーは自分でも相手にされなかったんだから嘘をつくなと不機嫌になる。マシューはどもりがちで仲間からバカにされている存在だった。

 

 

そしてその話が引き金になったのか、ジョニーたちは夜に突然ジェニファーのいるロッジに押しかけ、暴行する。酒を飲ませたり殴ったり。

しかしそれでも何とかジェニファーは逃げ出し、林の中を無我夢中で走っていると保安官のスコーチに保護される。そしてスコーチとともにロッジに戻る。

 

しかし、その救世主に見えた保安官のスコーチこそジョニーたちの親玉だった。助かったと思った矢先に混乱するジェニファー。だが、彼らはふざけ半分に童貞のマシューにジェニファーとセックスするように言う。仲間が怖いマシューはジェニファーが泣き叫んでいるにもかかわらず言う通りにしてしまう。

 

林の中で今度は泥水の中に顔を入れられ、結局全員にレイプされる。ふらふらと立ち上がったジェニファーは男たちに射殺される前に川に飛び込む。

 

保安官で家庭を持つスコッチはジェニファーの死体が見つかり、事が明るみに出るのを恐れ必死に死体を探させた。

 

だが数日経過しても死体は見つからなかった。。

 

 

後半(ジェニファーによる仕返し)

 

マシューがロッジに戻って来るとそこにはジェニファーがいた。

ジェニファーはもう生気をなくしていた。

「僕はイヤだったんだ」

マシューは懇願するように言った。

「わかってるわ。あなたは悪くない」

「ごめんなさい」

泣きながら謝るマシューをジェニファーはロープで首を絞めて気絶させる。

 

次はスタンリー。罠にかけ拘束し、ネズミの死骸を食べさせ、瞼を釣り針で引っ張り、魚の血にまみれた肉片を顔にかける。そしてその全ての様子を彼が自分にやったのと同じように動画に撮る。

 

するとやってきたカラスたちが彼の顔を突き始め最後には目玉をほじくり返してしまうのだった。

 

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その次はアンディー。水酸化ナトリウムを張ったバスタブの上で体を固定する。顔を上げることに疲れてしまうと彼はその中に顔を入れるしか無くなる。そうするとみるみるうちに皮膚が溶けていった。

 

そしてジョニー。全裸にして縛りつけ、歯を無理やり抜いた挙句、枝切り鋏でアレを切断してしまう。。

 

 

最後は親玉のスコーチ。妻と子供に「特進クラスの先生」を装って近づくジェニファー。そしてスコーチをおびき出し、眠っていたマシューの手と保安官のお尻に突きつけられた銃を紐で結びつけた。

マシューが起きてよろよろと立ち上がると、銃の引き金が引かれ、保安官とマシューは同時に死んだ。

 

 

感想 ジェニファーは死んでなかったのか?

 

タイトルの「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」(私はお前の墓に唾を吐く)にもある通り拷問されて死んだとしても、この男たちに同情の余地が一ミリもなさすぎて結構スカッとしてしまった。

後半の仕返しは本当に凄まじくて、痛々しかったのでそんなにやらんでもなんて思ってしまうけど、映画の中だったらこういう男たちはこれくらい悲惨な拷問をされて欲しかったような気もした。

 

最初のシーンであったようにジョニーたちがレイプすることになった動機って、ジェニファーに相手にされなかった腹いせだったり、田舎者であることの劣等感だったりと本当に小さいしクズすぎた。

 

そしてもう一つ大きかったのは保安官で妻も娘もいるスコーチが影で見知らぬ女性をレイプする最低ア○ルファ○ク野郎だったと言うぶっ飛んだ設定。

犯人たちの親玉が「まとも」とされている肩書きを持っている男だったのはこの映画の大事な要素だったと思う。キリスト教信者なのが窺えるシーンもあったし。

 

あと生き返ったジェニファーは生気がないし、裸のまま落下したのにちゃんと服を着てるし(彼女の所持品は全てすぐに男たちによって燃やされていた)、大柄の男たちを一撃の殴打で倒したり運んだりしていてさすがに無理がありすぎるので、これはほぼ間違いなく死んだ彼女の怨念だったということだろう。川から飛び込んだ時に彼女はすでに死んでいたが強烈な憎悪によって蘇ったのだと思う。

 

拷問は個人的にはあの目玉をカラスにつつかれるのが一番イヤだったなあ。意識のあるまま目玉を突かれるの想像したら怖すぎた。

 

レイプした罰なんだから、ジョニーのやられた去勢はなんとなく当然だったような気もする。あのおっきい枝切り鋏で切られるの信じられないくらい痛そうだけど。。

 

 

まとめ

「レイプされた女性が男たちに復讐する」というシンプルな設定だけど、時々観たくなってしまうタイプの映画だった。胸糞感はそこまで残らないしグロいのが得意な人は観ても損はないはず。

(2019年4月12日現在、「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」はアマゾンプライムビデオで鑑賞可能です。無料登録期間に契約解除すれば無料で視聴できます)

 

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悲しすぎる結末の傑作ホラー「グッドナイト・マミー」(2014) あらすじと感想と解説

グッドナイト・マミー(2014)

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監督:ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ

出演:ルーカス・シュワルツ、エリアス・シュワルツ、スザンネ・ベスト、ハンス・エッシャー 

 

ざっくりしたあらすじは、整形手術から帰ってきた顔面包帯ぐるぐるの「ママ」の態度がどこかおかしく、「もしかして別人なんじゃ...?」と双子の子供たちが疑いにかかるという話です。

 

虫とグロが苦手な方はここで読むのをやめるのをお勧めします。

 

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あらすじ(ネタバレあり)

 

自然に囲まれた森の近くの一軒家に住む双子の男の子ルーカスとエリアスはいつも一緒に遊んでいた。

ある日、お母さんが整形手術を受けて顔に包帯ぐるぐる巻きで帰ってきた。でも、そのお母さんはまるで別人のように冷たく変わってしまっていた。

二人はお母さんが本当に自分たちが知っている「お母さん」なのか疑い始める。お母さんが、ゲームを途中で無理やりやめさせたり、食事も飲み物もエリアスにだけあげて、ルーカスにあげなかったりし始めたからだ。

 

ルーカスとエリアスはお母さんが本当のお母さんじゃないと疑い、それを予知するような怖い夢を見たのもあって、寝ている間にお母さんの顔の上にGを忍ばせる。(二人は部屋で大量のGをケースに入れていた)そしてGはそのまま口の中へ入ってしまう...。

 

ある日、ルーカスとエリアスはアルバムを見ていると、母親とよく似た女性がサングラスをつけお揃いの格好をして写っているのを見つけ、疑惑確信に変わっていく。

 

ある日森からこっそり運んできた猫が地下室で死んでいるのを見つける。「きっとママがやったんだ」とエリアスは呟く。

 

包帯が取れてお母さんは以前と同じ顔だったが、それでも兄弟たちの不信感は拭えず、二人はついにお母さんが寝ている間に手足を包帯でぐるぐる巻きにして身動きのとれない状況にする。「僕らのママを返して」と兄弟は繰り返す。

 

二人は昔の「ママ」の動画と比べて瞳の色などをじっくり調べる。

そしてホクロが付けボクロになっていつことを発見した兄弟の行動はエスカレート。お母さんは手術の時に病院で除去したと言うが、その言葉も信じず、お母さんの頬を虫眼鏡で焼いたり、口を接着剤で塞いだり。。

 

そして家に火をつけて弱りきったお母さんもろとも焼こうとするエリアス。最後にお母さんは言う「わかったわまたフリをする。ルーカスとも話す。ルーカスは生き返る。食事も二人分作る。だから私をママだと認めて。約束する。エリアス。ルーカスが死んだのは事故よ。あなたのせいじゃない」

 

そして火をつけた「二人」は精神世界の中で本物の「ママ」と再会し、3人で一緒に思い出の歌を歌うのだった。

 

 

なんといってもこの話の肝は

「ママが偽物だったのではなく、双子の片方ルーカスが実は死んでいて、エリアスはその幻覚を見続けていた」ということ

 

オープニングのシーンであったようにルーカスは湖で遊んでいる時に溺れて死んでいた。

しかしそれがあまりにもショックで、一緒に遊んでいたエリアスは自分のせいだと責めるうちにルーカスの幻を見ることによって自分を守っていたのだと思う。病名で言うなら統合失調症のようなものなんだろうか。

 

母親だって自分の子供を亡くして相当のショックを抱えていたはずなのに、それに加えて生きている子供まで頭がおかしくなり、自分が本当のママじゃないと疑われていくんだから、この母親の気持ちに感情移入しすぎると観ていられなくなると思う。

 

この母親が最初冷たかったのは、いつまでもルーカスがいるように振る舞うエリアスにイライラしてしまったからだった。それを「母親と誰かが整形手術を利用して入れ替わった」とミスリードしてだんだん「おかしくなっていたのは子供の方なんじゃ...?」と明かすこの構造の変化がかなり恐怖を煽ってくる。

 

スリード部分をまとめてみるとこんな感じ

  • 狂った母親の姿(実際はエリアスが見ていた夢)
  • 母親そっくりの女性の写真(実際は友人とふざけて同じ格好で撮影していただけだったが、最後まで明かされない)
  • 結婚式などの写真がアルバムから消えて無くなっている(おそらく離婚したから捨てただけなんだろうが、これも母親の証拠隠滅だと錯覚させられる)
  • 猫が死んでいる(おそらく猫がエリアスの部屋から逃げ出して死んでしまっただけなのを母親がやったかのように見せかけている)
  • ルーカスの言葉をエリアスが繰り返すことによって、母親がルーカスの声が聞こえてないことを分かりづらくしている

 

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ただ、伏線はもっといっぱいあったので勘のいい人や映画を見慣れている人なら途中で気づいたかもしれない。

 

伏線まとめ

  • 食事がエリアスの分しか出てこない。(ルーカスにどうしてあげないの?と言われると「当たり前でしょ」とお母さんが答える)
  • おでこに紙を貼って、貼られた人が質問し何が書かれているか当てるゲームでも、お母さんはルーカスの出したヒントだけ聞こえていない(しかも子供が二人いるとエリアスが言うところで場面が意味深に切り替わる)
  • お母さんとルーカスの直接の会話シーンがない。ルーカスに話しかけない
  • エリアスが目覚めるとルーカスも起きる
  • 母親が電話で誰かに「これ以上フリを続けられない。現実と向き合うべきだわ」と相談している。
  • 「もうママはフリをしないからね。食事も服も一人分だけ。ルーカスに話しかけないと約束して」とエリアスに言う。
  • エリアスとルーカスが同じ鼻から鼻血を出している。

  • ルーカスがいるはずのベッドを無造作にお母さんがめくる。 

 

 

そしてエリアスの精神がもう崩壊していることもいろんなシーンからわかる。

  • 危ない夢を見る(森の中で狂っている母親の姿や、母親のはらわたからGが大量に出てくるなど)
  • Gを大量に飼育してる
  • 虫眼鏡で虫を燃やしている
  • 全然笑わない

 

なんかもう怖いというよりも断然悲しい映画だった。

自分が本物の母親であることを信用してもらえず、実の息子に「本当のママはどこ?」と拷問されるシーンは辛いとか怖いと言うよりも悲しすぎた。

 

気分が絶対に落ちるとわかってても時々観たくなってしまう映画ってたまにあるけど、僕にとってこの映画はその一つに含まれるような気がする。音楽とかも少ないけど、食い入るように観てしまった。なんか不気味だけど魅力的...。虫とホラー、あとは鬱系に耐性がある人には是非観て観て欲しい。

あとこんな感じのどんでん返し系映画はここにもまとめたのでこちらも合わせてよろしくお願いします。

 

www.neatnobibouroku.info

 

 

 

 

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【ネタバレなし】オチで全てが変わるどんでん返し系おすすめ映画13選【洋画編】

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今回はネタバレなしで個人的に衝撃的なオチだった映画や常識を覆すような展開だった映画を紹介していきます!今回は洋画だけに絞って紹介しています!

 

 

目次

 

 

1.ミスト

「霧の中に何かがいる」

 

 

 

監督:フランク・ダラボン

出演:トーマス・ジェーン、ケリー・コリンズ・リンツ、ネイサン・ギャンブル他

 

スティーブン・キング原作の同名小説を「ショーシャンクの空に」「ウォーキング・デッド」「グリーン・マイル」などのフランクダラボンが映像化したパニックホラー映画。

 

あらすじ

舞台はアメリカの田舎町。主人公のデヴィッドは妻のステファニーと息子ビリーと暮らしているが、ある日突然激しい嵐に襲われる。地下室に避難し一晩やり過ごすが、翌朝外に出てみると被害は大きく、街は悲惨な状態だった。

食料調達のためにビリーと隣人を連れてデヴィッドはスーパーに向かう。店は大勢の客で混乱していた。そして辺りは次第に濃厚な霧に囲まれ、その中に得体の知れない「何か」が潜んでいることが発覚し、デヴィッドたちはスーパーに閉じ込められる。

 

感想 

検索するととか出てくるけど、まさにどんでん返し系映画の代名詞のような映画です。「嘘だろ」ってオチ(良い意味で)に落ち込んでへこんで呆気にとられるはず。。

 

 

2.シックスセンス

「少年は死者を見ることが出来る 」

 

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:ブルース・ウィルスハーレイ・ジョエル・オスメントオリヴィア・ウィリアムズ

 

シャマランが脚光を浴びるきっかけになった大ヒット映画。

アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞助演男優賞助演女優賞にノミネートされました。

 

あらすじ

マルコム・クロウ(ブルース・ウィルス)は小児精神科医。多くの子どもたちを救ったことで名誉市民賞を授与される。

マルコムがその日の夜は妻と祝杯をあげていると、侵入者がやってくる。それは昔の患者であるヴィンセントだった。

彼はマルコムを恨んでいた。ヴィンセントを説得するが撃たれてしまい、彼はその後自分自身を撃って自殺する。

 

場面は一年後。マルコムは一年前の事件を悔やみながら仕事に励んでいた。

そんな中、学校にも馴染めないで強い不安感を覚えている9歳の少年コールと出会う。話をしていくと、コールには死んだ人たちが見えるという霊感(第六感)を持っていることがわかり悩んでいるとマルコムに打ち明ける。

 

感想

勘が良い人とか映画見慣れている人だったらもしかしたらこの情報だけで分かるかもしれないです。けど、これもどんでん返しの代名詞のような映画。

僕が個人的にこの映画が愛される理由だと思ったのはこの肝にあるどんでん返しだけじゃなく、「心に傷を負った人たちが前に進んでいく」物語だったことだと思います。ヒューマンドラマ要素も十分あるのでオススメです!

 

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3.ヴィジット

「あなたは絶対に“その約束”を破ることになる」

 

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:オリヴィア・デヨング、エド・オクセンボウルド、ディアナ・ダナガン、ピーター・マクロビー他

 

15歳の姉ベッカと13歳の弟タイラーは、祖父母から休暇を利用して家に遊びに来ないかと言われ、一週間滞在することになった。

遊びに行くと、二人は祖父母から三つの約束を守るように言われる。

1.「楽しい時間を過ごすこと」

2.「好きなものは遠慮なく食べること」

3.「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」

 

しかし、夜中に起こる不可解な現象に二人は部屋を出ようとしてしてしまう...。

 

 

シックスセンスに続いてシャマランの作品二つ目なんですが、個人的にはこっちの方が面白かったです。そしてこの三つの意味不明な約束の意味とか次々に起こる不気味な怪奇現象とか、スリリング要素満載で終始ハラハラしっぱなしでした。

 

 

4.オールド・ボーイ

「お前は誰だ!? なぜ俺を15年間監禁した!?」

 

監督:パク・チャヌク

出演:チェ・ミンシク、カン・へジョン、ユ・ジテ、チ・デハン他

 

パク・チャヌク監督の復讐三部作の二作目で、カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めたクエンティン・タランティーノ「できればパルム・ドール(最高賞)を授与したかった」と言わせたという話も有名。

 

あらすじ

どこにでもいるサラリーマンであるオ・デスは、泥酔した夜に意識を取り戻すと監禁部屋にいた。その後15年間監禁されると突然解放される。

その後料理屋で知り合った若い娘ミドと自分がなぜ監禁されたのかを探る。二人はそのうちに愛し合うようになる。

調査を進めて行くと監禁の首謀者である男が現れ、デスに対して五日間で監禁の理由を解き明かせとゲームを持ちかける。

「お前は愚かだ。問題はなぜ監禁されたかではない。考えるべきは、なぜ解放されたかだ」

 

感想

えぐい、えぐい映画です。多分今日紹介する映画の中で「胸糞度」で言ったらダントツで一番。

様々な伏線が散らばったバイオレンスアクション。余裕があるときに一回観てもらいたい作品です。

 

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5.エスター

「この娘、どこか変だ」

 

監督:ジャウム・コレット=セラ

出演:ヴェラ・ファーミガ、イザベル・ファーマン、ピーター・サースガード、ジミー・ベネット

 

あらすじ 

3人目の子どもを流産してしまったケイト・コールマンと夫は、そのショックを埋めるため孤児院からエスターという少女を引き取る。落ち着いていて大人っぽく、手話を覚えて耳が聴こえない義理の妹のマックスとも仲良くなる。

しかし、エスターの行動にだんだん違和感を覚え始める妻。エスターはだんだんとその恐ろしい本性を剥き出しにしていく。。

 

感想

「この娘、どこか変だ」というキャッチコピーで有名なこの映画。ジャンルとしてはサイコスリラーなんでしょうか。エスターの変貌っぷりはホラー慣れしている方でもかなり楽しめると思います。

 

6.ゴーン・ガール

「君は今、何を考えている?」

 

監督:デヴィッド・フィンチャー

出演:ベン・アフレックロザムンド・パイクニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー

 

あらすじ

5回目の記念日の朝、妻エイミーが失踪していることに気がついたニック・ダン。

警察が来て捜査が進んで行くもなかなか見つからず、世間も注目する事件になっていく。

しかし、ニックはそんな過激な報道によって妻を殺害したんじゃないかという疑いをかけられることになる。

なぜ、妻は消えたのか、そしてなぜ見つからないのか。捜査が進むにつれて自分の知っていた妻がどんどん分からなくなっていく。。

 

感想

最初は失踪した妻を探すというシンプルな構成なのがだんだん覆っていって、そのままオチに圧倒されるような映画です。サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても面白いです。

 

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7.ファイト・クラブ

「お前は“物”に支配されてる」 

 

監督:デヴィッド・フィンチャー

出演:エドワード・ノートンブラッド・ピット

 

あらすじ

自動車会社に勤めている「僕」は金銭的には充実した生活を送っていたが、精神的にはどこか満たされず不眠症の日々を送っていた。 

仕事で出張ばかりの「僕」は飛行機の中で石鹸の製造販売をしているタイラー・ダーデンという男に出会う。彼は「僕」と違ってマッチョで自信家。「僕」とは正反対のタイプだった。

後日、マンションの部屋を爆破された「僕」はもらった名刺を頼りにタイラーに連絡する。タイラーは「僕」に「物に支配されてる」と言う。

タイラーは「俺を力一杯殴ってくれ」と言い、「僕」は戸惑いながらも二人は殴り合う。そしてその瞬間がいつの間にか「ファイト・クラブ」という夜な夜な男たちが集まって殴り合う集会に発展する。

退屈だった仕事だけの毎日が一転して生き生きと人生を送れるようになる「僕」。頭のことは仕事中でもファイト・クラブのことでいっぱいだった。

 

感想

映画好きから大人気なこの映画。僕も大好きな映画の一つです。

イギリスの雑誌「エンパイア」が発表した「歴代最高の映画500」で10位にランクインし、「最高の映画キャラクター100」ではブラピの演じたタイラー・ダーテンは1位にランクインしてます。

すごく難解な映画だけど、どんでん返しの面白さのみならず「自分の人生を生きること」に焦点を当てた構造になっているのがこんなにも心を掴まれる理由なのかもしれない。一見の価値は十分にあります。

 

8.ゲット・アウト

「何かがおかしい」

 

監督:ジョーダン・プール

出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、他

 

あらすじ

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家に招待される。若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、フラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。(https://filmarks.com/movies/70717

 

感想

グロとかは全然ないのに、久しぶりに眠れなくなるくらい怖かったです。全く新感覚の怖さでした。

巧妙に作られた伏線やブラックジョークなどを交えながら、ホラー要素も満載で非常によくできた映画です。一回しか見てないけど、本気で考察したら面白そう。

 

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9.バタフライ・エフェクト

「映画史上最も切ないハッピーエンド」

 

監督:エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー

出演:アシュトン・カッチャーエイミー・スマート 他 

 

あらすじ

幼い頃から短期間記憶を失うという症状を持つエヴァンは、その治療のために日記をつけている。

大学生になってから、その日記を読み返すと自分が過去に遡る能力があることを知り、その能力を使って密かに想いを寄せていた幼馴染ケイリーの悲しい運命を変えるために何度も何度も過去に戻る。

 

感想

全米でも大ヒットしたこの映画ですが、本当に大好きな作品です。

エヴァンの記憶が欠落している箇所は六つあり、そのどこかに戻って過去を書き換えると言う構成はかなり難解で一度見ただけで全てを理解するのは難しいと思うけど、ラストだけでもまずは見て欲しいです。

Oasis「Stop Crying Your Heart Out」が流れるのもポイントが高いです。サスペンスっぽいけど、どちらかというと恋愛要素多めのSFサスペンスといった感じ。

 

10.メメント

「10分前、俺は何をした?」

 

監督:クリストファー・ノーラン

出演:ガイ・ピアーズ、キャリー=アン・モスジョー・パントリアーノ

 

あらすじ

数分前の記憶を忘れてしまう前向性健忘のレナードが妻を殺した犯人を追っていくサスペンス。

忘れないようにレナードはメモを残したり、体にメッセージを書いて犯人を探して行く。

 

感想

「ダーク・ナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督作品。数々の名作を生み出しているけど、僕はこの作品が一番好きかもしれないです。

時間軸のズレ方が特殊で超難解映画です。ただ、最初は「どういうこと...?」と思うかもしれませんが、集中して見てれば最後に全部繋がります。是非この精密な構成が生んだ衝撃的なラストの快感を味わって欲しい。

 

 

11.グッドナイト・マミー

「僕らのママを返して」

 

監督:セブリン・フィアラ、ヴェロニカ・フランツ

出演:ズザンネ・ヴースト、エリアス・シュヴァルツ、ルーカス・シュヴァルツ、ハンス・エッシャークリスティアン・シャッツ

 

感想

顔を包帯で覆い、ほとんど顔の見えない状態で美容整形の手術から帰ってきた母。しかし、その母はまるで以前とは別人かのように自分の実の双子の子供に冷たい態度をとる。。

 

感想

精神的にえぐい映画でした。虫とかが登場するのもそうなんだけど、なんて言うか、怖すぎて切なくさえ思えてしまった。ストーリー性もしっかりしていて、ホラーの中でも上質な映画だったかと思います。

ネタバレできないのでなんとも言えないんですが、とにかくこの哀愁たっぷりのホラーを堪能して欲しいです。

 

 

12.ファニーゲーム

「それは映画史上、最も“不快”な暴力」

 

監督:ミヒャエル・ハネケ

出演:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ、フランク・ギーリング

 

あらすじ

ある夏の午後、ショーバー一家は別荘で休暇を過ごしていた。

妻のアンナがキッチンで夕食の支度をしていると、全身真っ白で手袋をした男が訪ねてくる。別荘の近所にいた見知らぬ二人組の男の一人だった。男は「卵を分けて欲しい」とアンナに頼んだ。

アンナは受け入れて渡すが、男は二度も卵を落として割ってしまう。アンナは「もう渡せない」と男に言い、一旦はいなくなるが再びやってくる。あまりの失礼さに夫のゲオルクが「帰ってくれ」と言って平手打ちを食らわすと男の態度が豹変し、そばにあったグラフクラブでゲオルクの足を殴り、家族全員をソファーに縛りつけた。

二人組の男は夜になって家族に提案する。「君たちが明日の朝まで生き残れるか賭けをしよう」

 

 感想

「憤慨させるために作った」と監督のミヒャエル・ハネケは言っていたそうですが、本当にまさにあまりの理不尽さ、掟破りの展開に目を疑うことになる映画です。カンヌ国際映画祭でもあまりの凄惨さに席を立った批評家や観客が続出し、ロンドンではビデオの発禁運動まで起こったとか。

ただ、過激なグロシーンとかは一切ないんですよね。それなのにこれだけの不快感。どんでん返しとはちょっと違うけど、あまりにも斬新だったので(観た人はわかるけど、あのメタ要素も含め)紹介しました。

 

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13.愛を綴る女

「君に生きて欲しくて」

 

監督:ニコール・ガルシア

出演:マリオン・コティヤールルイ・ガレル、アレックス・ブランデミュール、ブリジット・ルアン

 

あらすじ

南仏の小さな村に暮らす若く美しいガブリエル。最愛の男性との結婚を熱望しながらも、地元の教師との一方的な恋に破れ、不本意ながら両親の決めた正直者で情の深いスペイン人労働者ジョゼの妻となる。「あなたを絶対愛さない」「俺も愛していない」。そう誓いあったにもかかわらず、日々、近づいては離れる官能的な夫婦の営み。そんなとき、流産の原因が腎臓結石と診断され、アルプスの山麓の療養所で温泉治療することになる。そこで、インドシナ戦争で負傷した「帰還兵」アンドレ・ソヴァージュと運命的な出逢いを果たす。それは彼女が綴る清冽な愛の物語の始まりとなるのだった――。(https://filmarks.com/movies/67910/spoiler

 

感想

 「愛してない」と言い合いながら結婚した夫婦。

情熱的な愛に惹かれていってしまう妻とアレックス・ブランデミュール演じる不器用な夫の関係が悲しかったです。

あと、映画の中でチャイコフスキーの音楽が流れるんですけど、それもまたこの哀愁を引き立てていてよかったです。なぜ、この映画がどんでん返しなのかは是非観て欲しい。

 

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好奇心で近付く残酷さ。映画「ジョゼと虎と魚たち」感想・解説

ジョゼと虎と魚たち(2003年)

監督:犬童一心

上映時間:116分

出演:妻夫木聡池脇千鶴上野樹里、江口徳子

 

目次

 

あらすじ

恒夫(妻夫木聡)は、雀荘でアルバイトをしている大学生。最近、卓上で話題になっているのは近所に出没する婆さんのこと。婆さんはいつも乳母車を押して歩いている。

恒夫はある日、偶然乳母車に乗っているその少女に会った。それが、ジョゼ(池脇千鶴)との出逢いだった。(https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョゼと虎と魚たち

 

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誰にでも優しい大学生(以下、ネタバレ含む)

 

妻夫木聡演じる大学生の恒夫は、友達も多く誰に対しても優しい大学生。

 

ノリコというサバサバしたセックスフレンドがいて、大学では香苗という同級生とも就職の相談がきっかけで仲良くしている。

 

一方ジョゼは足が悪く外の世界を何も知らないため、押入れの中でおばあがゴミ捨て場から拾ってきた本ばかり読んでいる女の子。恒夫とは何も接点がないはずだったが、乳母車に乗っているジョゼに出会って、「おばあ」に朝ごはんをご馳走になったことで知り合う。

 

恒夫はどういうわけだか彼女にも惹かれ、何度もジョゼの家に通う。

そのうち恒夫はジョゼの面倒を見るようになる。スケボーで昼間の散歩に連れ出したり、家をバリアフリーにする工事を勧めて決行したり。悪意のある言い方をすれば、恒夫は土足でジョゼとおばあの二人の世界にズカズカと入っていくのだ。

 

最初は自分だけの一人ぼっちの世界に閉じこもってばかりのジョゼだったが、次第に優しく自分に接し続けて世話してくれる恒夫に惹かれ始める。

 

ある日工事の時に香苗と恒夫の会話を聞いてしまう。足の悪いジョゼは部屋の椅子から降りるときも飛び降りるようにするしかなかったのだが、それを香苗が嫌味のようにジョゼのいるところで話したのだ。「彼女やろ?お部屋のあちこちからダイブしよるって。私もいっぺん見たいなあ」と。

 

こんな風にジョゼのことを言った恒夫も恒夫だけど、これは酷すぎた。。当然これ以来、恒夫がジョゼを訪れると、ジョゼに本を投げつけられ、そんな様子のジョゼを見て全てを察したおばあにも「もう帰ってくれ」と言われる。でもこの行動からわかるのはジョゼはもうこの時すでに苦しいくらい本気で恒夫に惹かれてたということ。

 

 

住む世界の違う恋愛

 

おばあに「帰れ」と言われて以来疎遠になったジョゼと恒夫。恒夫は就職活動に励んでいた。

 

しかし、恒夫はおばあが死んだという知らせを聞いて再びジョゼの元に向かう。家の中は人が一人いなくなり以前にも増して閑散としていて暗かった。

 

ジョゼはおばあがいなくなってから近所の変態おじさんに胸を触らせることでゴミ出しを手伝ってもらていると言う。それを恒夫が咎めると、「関係ないやろ、帰れ!」とジョゼは言う。

でも、それは嘘だった。本当に帰ろうとする恒夫にジョゼは「帰れって言われて帰ろうとする奴は帰れ!」と泣きながら言う。

 

ジョゼの本心を知ってそのまま関係を持ち付き合うことになる二人。

「うち好きや、あんたも、あんたのすることも」とジョゼ。

 

二人の交際はとりあえず順調だった。一緒に動物園にも行ったし、旅行に出かけ、そこでの法事で恒夫はジョゼを親に会わせる予定も立てていた。

 

しかしいざその旅行に来ると、目当ての水族館がやってなくて駄々を捏ねていじけて叫んだり、車椅子を使おうとせず恒夫にずっとおんぶしてもらったり、運転してるのにしつこく話しかけてくるジョゼにだんだんイライラが募り始める。

 

「このまま本当にこんな「普通」じゃないジョゼとこの先もいられるのだろうか...?」恒夫は将来が不安になる。

弟に電話し、「仕事でいけなくなった」と嘘を吐いてジョゼを親に会わせるのを中止にする恒夫。弟に「兄ちゃん、怯んだと?」と言われ何も言い返せない。

 

二人はその晩「お魚の館」というラブホテルに泊まる。

ジョゼは恒夫に言った。「なあ。目ぇ閉じて。...そこが昔うちがおった場所や。深い深い、海の底。いつかあんたがおらんようになったら、迷子の貝殻みたいに一人ぼっちで海の底をころころころころ転がり続けることになるんやろ...?」

 

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その後数ヶ月して二人は別れた。恒夫は自分で別れの理由は「僕が逃げたこと」だったと振り返る。そして別れたその足で恒夫は香苗と会いに行く。ちゃんと描かれてないけど、この会い方的に、恒夫はジョゼと付き合う傍で香苗とも関係を適度に保っていたような気がする。

 

結局また一人ぼっちに戻ったけど、車椅子で一人で買い物をし、身の回りのことを誰にも頼まないでこなしているジョゼの姿は胸を打つものがある。

 

 

八方美人が撒いた種

 

上野樹里演じる香苗ちゃんが強烈すぎてびっくりした人多そう。

ジョゼと道端で会った香苗が「正直、あなたの武器が羨ましいわ」と言うと、「ほんまにそう思うんやったら、あんたも足切ってもうたらええやん」とジョゼが言う。そしてそんなジョゼを二回強めにビンタする香苗ちゃん。(この子が福祉関係に就職したいという設定なのもやばい)

後日、香苗は恒夫に「あの子のこと殴ってん」と打ち明ける。

「だって許されかってんもん。障害者のくせしてあたしの彼氏奪うなんて、どういうこと?って。心底、殺してやりたいくらいムカついてたわ」

 

こんな最低なことを言う香苗のことも責めないで優しく笑う恒夫。ジョゼが香苗にビンタされたことを恒夫に黙っていたのも、恒夫が自分だけじゃなくて香苗にも良くしていることをなんとなく見破っていたからだと思う。

 

ただ、香苗をこんな嫌な女にしてしまったのも、恒夫が八方美人すぎたからと思うのは僕だけなんだろうか。恒夫がもっとはっきりと自分の立場を示していたら、香苗だって期待嫉妬もしなかったんじゃないだろうか。

 

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好奇心による恋愛感情の限界

 

結局のところ、恒夫は恒夫でジョゼのことを好きだったはずだし、大事にしているように思える場面もいくつもあった。でも多分恒夫は、単なる好奇心と正義感と恋愛感情を全て一緒くたにしていたような気がする。

 

恒夫はやっぱり身体障害のある彼女との人生を選ばなかったけど、現実的に考えたらそれを責めることのできる人もいないはず。そしてそのまま「普通」の女性である香苗の元に行ったとしても。

 

この映画はそんな人生のリアルな選択をまざまざと見せてくれる。恒夫はずるく、愛される喜びを教えてからジョゼを一人の世界に戻すなんて残酷すぎると思う。でも、じゃあ恒夫は悪者で完全な嘘つきだったのかというとそうじゃない。恒夫は恒夫なりにジョゼを大事に思ってたはず。やっぱり恋愛なんて所詮は感情だけで結ばれているものなので責任なんて負いようがないのかも、なんてことを考えさせられる。

 

まとめ

 

かなりえぐい映画だったけど、アタリの邦画だったと思う。キャストもハマりまくってたし、くるりの音楽も良かった。

 

邦画のいいところはこういう生々しい恋愛をリアルに感じれるところだと思う。洋画の恋愛よりも、やっぱり自分たちの価値観と一致しているから自分の人生に置き換えやすい。

 

とにかく池脇千鶴の演技がすごかったな。情緒不安定な女の子を完璧なまでに演じてた。これだけでも一見の価値があると思う。

 

 

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自分の保身のために周りを傷つけたあの頃。映画「レディ・バード」感想・解説

レディ・バード(2017年) 

原題:Lady Bird

上映時間:94分

監督・脚本:グレタ・ガーウィグ

出演:シアーシャ・ローナンローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズティモシー・シャラメ

 

あらすじ
2002 年、カリフォルニア州サクラメント。閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン(自称“レディ・バード”)。高校生最後の 1 年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、悩める17 歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描いた超話題作!https://filmarks.com/movies/64154

 

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この映画、第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされて、監督のグレタ・ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になり、映画批評集積サイトのRotten Tomatoesで批評家支持率100%などなど...。評論家たちの評価は十分だし、君の名前で僕を呼んでティモシー・シャラメが出ていることも注目されている。

  

目次

 

クリスティンじゃなくて「レディ・バード」!

主人公のクリスティンは親や友達に自分のことをレディ・バードと呼ばせている。理由は自分の名前を気に入ってないから。

 

そう、この主人公はいわゆるイタいと言われるタイプの女の子。こんな黒歴史を絶賛生産中だ。

 

レディ・バードは必死だ。多くの17歳がそうだったように。

貧乏な自分の家は恥ずかしいし、田舎ではなく華やかなNYの大学に進学したいし、彼氏は欲しいし、ロマンチックな初体験がしたいし...。大人になってみればちっぽけな悩みだとわかっても、そんなことを当時の17歳の少年少女が受け入れられなかったように当人たちには大問題だ。

 

だから必死で自分を良く見せたくて、平気で嘘を吐くし、裏切りもする。

貧乏な自分の家を隠して、友達のおばあちゃんの豪邸を「自分の家だ」と友達に紹介したり、イケメンなバンドマンのカイルに近づくためなら親友との付き合いを疎遠にしてでもスクールカースト上位の女の子と近づいて仲良くすることだってする。

 

でも、そんな薄情さと優しい心を併せ持っているのがレディ・バードの魅力。

自分の彼氏だったダニーがゲイだったとわかっても、泣いてどうしようと打ち明ける彼を「大丈夫」と抱きしめてあげたり、最終的にはスクールカースト上位の女の子たちとの付き合いを断ってちゃんと親友ジュリーの元へ向かったり。

自分の保身のために身勝手になるのは性格が悪いんじゃなくて10代の誰もが体験することなのかもなんて思う。それくらい必死で自分に自信がなくて余裕がないのだと。

でも、それでも最後にはちゃんと「気づける」ところがレディ・バードの最大の魅力。

 

ぶつかってばかりの母と子

 

この映画では母とレディ・バードは何度も何度も衝突する。

服をほったらかしたまま寝ようとしたり、バスタオルを二枚使ったり、派手なピンクのドレスを着たりする娘に母は小言を言わずにいられないのだ。

そして母と娘は何より進路の話で決定的に衝突する。

お金もないし地元の大学に進学して欲しい母とNYの大学に行きたいレディ・バード

母はおそらくレディ・バードが単なる劣等感から都会に行きたいと行っているだけだということも見抜いていたのだと思う。

だが、父とこっそりNY行きの計画を進めるレディ・バード

その夢は叶って行けることになるのだが、最後の見送りの時まで母との関係は悪化したままでまともに口をきいてもいなかった。

でも母は娘を見送った後車を引き返して娘の元に向かおうとする。

このシーンで「ああ、やっぱり母はレディ・バードのことを考えて本当に愛していたんだなあ」と痛感する。運転しながらだんだん表情が歪んできて涙が溢れてくるシーンは胸がいっぱいになった。

母は娘に最後言葉をかけることはできなかったけど、何度も書きかけては捨てていた手紙はちゃんとゴミ箱からお父さんが拾ってレディ・バードのカバンの中に入れていた。。

そこには母がレディ・バードを生むのがどんなに大変で、生まれてきたことは奇跡的だったこと、などが書かれていた。

 

一人都会にやってきたレディ・バード

友達とも家族とも離れてみたけど、やっぱり故郷が恋しくなってカトリック系の高校にいたクリスティンは思わず協会に駆け込む。

その帰り道思わず両親に電話し、メッセージを残す。

「あのね、私、クリスティン。この名前、結構気に入ってる」と。

 

手紙でも自分のことをレディ・バードと呼んでくれる母の手紙を読んで、自分が親にもらった名前を否定することさえ、両親を傷つけていたんだと気が付く。

 

冒頭で「車の免許すら持ってないでしょ」と母に言われたクリスティン。免許を取ったクリスティンはずっと一人で町を初めて運転した時の感動をママに伝えたかったんだと電話で告げる。

 

この映画のワンシーンでシスターが「愛情と注意を払うことは同じ」だと言っていた。それを聞いて、母がうるさく小言を言っているのも愛情なのかもと気づきだすレディ・バードだが、子供なんだから褒められたい、認められたいと当然思っている。そんな交わらない気持ちでぶつかってしまう二人の親子だけど、この言葉はそんな複雑な親子の問題を解決に一歩近づけた素晴らしい名言だと思う。

 

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人を簡単に踏み台にするあの頃

 

中心となる軸はもちろん親子の問題なのだけれど(原題はもともとMother and Daughterだったこの映画の学生たちもかなりリアルに痛々しく描かれている。

 

例えば、スクールカースト上位のジェナにレディ・バードが無理やり話に入って近づいていくあの感じ。無視したりするわけじゃないけど「何、陰キャが急に入ってきて」みたいな空気。そんな親友を見てジュリーも負けじと輪に入ろうとするけど、同じように空気が変わる。

 

そしてそのカースト上位のジョナ、ジョナの彼氏(?)、初体験を捧げたカイル、で出かけることになっても車の中で3人はレディ・バードのドレスを「ダサい服」なんて言って笑っている。

 

ジョナもレディ・バードがカイルの彼女だから付き合っているだけで、レディ・バードには一切興味がない。だから家を偽られても不快に思ったところで付き合いはやめない。

 

学生時代の付き合いってこういう彼氏とか彼女の存在で付加価値がついて、カーストの上位のグループに混ざったりするの本当にあるあるだよなあなんて思って見てた。

その人に興味があるとかないとかじゃなく、その人が何部で、誰と付き合っているのか、どんなグループにいるのかでつるむ、つるまないを決めるみたいな。

 

この作品は本当に学生生活のそんな空気感みたいなものを残酷なまでに丁寧に描いている作品だったと改めて思う。そしてそんな中で不器用に戦うレディ・バードを見て自分の痛々しい学生生活の「匂い」みたいなものを追体験できるのではないだろうか。

 

まとめ

初めは笑えるところもかなりあったけど、見ていくうちに痛々しくもリアルで愛おしい映画にどんどん変化して言ったのが強く印象的な映画だった。

 

レディ・バードっていうのも、女性(少女から大人になること)自由(少女でいること)の間で揺れ動く17歳を意味しているような気がする。

 

レディ・バード」が好きだったらこの記事にまとめたけど、この辺の映画もオススメしたい。特にスウィート17モンスターとか。

 

www.neatnobibouroku.info

 

追体験できるのは映画のいいところだけど、やっぱり学生時代には戻りたくないなと改めて思う映画だった。イタすぎる。。

 

 

 

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