意識高い引きこもり大学生の独り言

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イケメンかつ天才。僕の憧れ、グザヴィエ・ドランのおすすめ映画5つ

ドラン監督の映画を初めてみたのは高校を卒業したての春休み、友達とフラフラして、立ち寄った映画館でやっていた「たかが世界の終わり」。これを観ようと言い出したのはぼくだったけど、それはこのタイトルに惹かれたのと、Twitterでたしかあたそさんが面白かったと言っていたのを見かけて、それがなんとなく頭に残っていたからだと思う。ちなみに、この映画への感想は何回か見直したあと、ここにたっぷり書いた。

neatnobibouroku.hatenablog.com

 今思えば、ドラン作品のデビューとして「たかが世界の終わり」はなかなか向いていないチョイス。でもぼくはこの映画を観て、この監督に興味を持ち、結果的に狂信的に彼を崇めるまでになってしまった。ぼくはこの映画を観て、こんなに人間的な不器用をそのままに描いているところがひたすらに痛快で気に入った。ぼくが思うに、ドランは人間を抽象化しないということに長けている。ぼくは人間の醜さ、不自然さを抽象化せず丁寧に描いているのはラース・フォン・トリアーだと思うけど、トリアーがそれを登場人物を絶望的な環境に置くことで表現するのに対し、ドランは日常的な出来事の中で登場人物たちの機微を溢さず表現していると思う。会話が噛み合っていなかったり、話を聞いていないで上の空な人がいたり。。そういうのを表現するのがとっても上手い。

 

今回はそんな彼の僕がぐっときた映画を5つ選びました。ネタバレはしないように書きました。

 

1.トム・アット・ザ・ファーム

モントリオールの広告代理店で働くトム(グザヴィエ・ドラン)は、交通事故で死んだ恋人のギョームの葬儀に出席するために、ギョーム

の実家である農場に向かう。そこには、ギョームの母親アガット(リズ・ロワ)と、ギョームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)が二人で暮らしていた。

トムは到着してすぐ、ギョームが生前、母親にはゲイの恋人である自分の存在を隠していたばかりか、サラ(エヴリーヌ・ブロシュ)というガールフレンドがいると嘘をついていたことを知りショックを受ける。さらにトムはフランシスから、ギョームの単なる友人であると母親には嘘をつき続けることを強要される。

恋人を救えなかった罪悪感から、次第にトムは自らを農場に幽閉するかのように、フランシスの暴力と不寛容に服していく...。(UPLINK公式サイト)

「僕たちは愛し方を覚える前に、嘘のつきかたを覚えた」というキャッチコピーのこの映画は、ドランが初めてサイコスリラーというジャンルに挑戦したもので、これを最高傑作と言う批評家も多い。この映画の見所は、牧歌的で閉塞的な田舎で、恋人の死という溝を必死に埋めようとするトムと、暴力的だが、人間的な弱さを持っているフランシスとの危うい関係。「ストックホルム症候群」という生存戦略として誘拐犯などを好きになる現象があるが、精神状態はそれとかなり似ている。またよく見ると、家具や車といった小道具、ベッドの動きなんかにもかなり情報量があり、何回見ても発見があるから、映画としての面白さも十分に持っていて、面白い。死んだ恋人の兄は当然ながら、恋人の面影をたくさん持っている。そういうのに惹かれているのは本当の恋じゃないとわかっていながらも惹かれてしまう。そして支配されていくその過程はなんだか、僕にはどうしようもなく悲しく見えた。

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2.Mommy

とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政府が成立。2ヵ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに子育てを放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律である。ダイアン・デュプレの運命は、この法律により、大きく左右されることになる。(Mommy オフィシャルサイト) 

 倫理的にアウトな法律を基盤に話は進んでいくわけなんですが、この物語の主人公、高校生のスティーヴはADHD(注意欠陥多動性症候群)で、普段は温厚な性格にもかかわらず、突然攻撃的な性格になってしまう。母を大事にしているのにもかかわらずそれを抑えられない。そして、自分が母をそれで傷つけていることも、母親が一人で育てるには、自分という人間は重すぎるということもわかっている。誰よりも母を愛しているのに、その攻撃的な衝動も抑えられず、葛藤する。そして見所として忘れてはいけないのが劇中で流れるOasisのWonderwall。Wonderwallってもしかしてこの映画のためにあったの?とも思えるくらい映画にマッチしていたし、きっとそのシーンは斬新で開放的で一度見たらずっと心に残り続けると思う。「そうさ君は僕を守ってくれる魔法の壁だから」という訳もいい。でも、この親子どんなにがちゃんと愛し合っていても、現実はそれだけではやっていけないんだなあという。

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3.たかが世界の終わり

「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のセザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮き足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻カトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐るかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決心するルイ。だが加熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれの感情がほとばしるーーーー。(GAGA公式サイト)

 「これが最後だなんて、僕たちは哀しいくらい不器用だった」

自分の世界が終わること(死)よりも、耐えられないこととはなんなのか、世界の終わりさえたかが、と思えてしまうこととはなんなのかを考えさせられるこの秀逸なタイトルに見終わった後、きっと感動するはず。これは重いかもしれないけど、人間同士が分かり合うことの難しさを考えるためには絶好の作品だと思う。

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4.わたしはロランス

モントリオール在住の小説家で、国語教師のロランスは、美しく情熱的な女性フレッドと恋をしていた。30歳の誕生日、ロランスはフレッドにある秘密を打ち明ける。「僕は女になりたい。この体は間違えて生まれてきてしまったんだ」。それを聞いたフレッドはロランスを激しく非難する。2人がこれまでに築いてきたもの、フレッドが愛したものが否定されたように思えたのだ。しかし、ロランスを失うことを恐れたフレッドは、ロランスの最大の理解者、支持者として一緒に生きていくことを決意する。メイクを教え、女性の服装で生活すべきだと促すも、モントリオールの田舎町で生活するのは困難がつきまとう。あらゆる反対を押し切り、自分たちの迷いさえもふり切って、ふたりはお互いにとっての"スペシャル"であり続けることができるのか...?(UPLINK 公式サイト)

 「彼は女になりたかった。彼は彼女を愛したかった。」

とにかく息苦しい映画だった。人間は外見ではなく中身だと人はよく言うけれど、果たして恋人が性別を変えたいと言い出した時、どのくらいの人が受け入れられるんだろう。そんなタブーに触れておいて、以前のような陶酔するような恋愛を元どおり行えるとは、僕には思えない。でも、この映画の素敵なところは、そんな現実に目を背けるのではなく、そんな自分の感情を受け入れつつも、相手のことも同時に受け入れようとして、お互いに奮闘しているところだと思う。この映画はどこまでも自分の中の目を背けたくなるような感情にせまっているけど、それでいてすごく綺麗な映画だった。

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5.マイ・マザー

ケベックにある、何の変哲も無い街に暮らす17歳の少年、ユベール・ミネリ(グザヴィエ・ドラン)。他の若者たちと変わらない普通の青春を過ごす彼だったが、二人暮らしを送っている母親との関係に悩んでいた。センスのないセーターや、度重なる小言など、彼女の全てが気に障り、その愛憎が入り混じった感情に振り回されていく。そんな中、ユベールは幼少時代からなじみのある風景で、セント・ローレンス川沿いの土手に座っている母親を見つけたのを機に、ある決意を固める。(シネマトゥデイ

 「17歳、僕は、母を、殺したーー。」

これがドランのデビュー作で、半ばドランの自伝的な作品ともなっている。思春期ならではの理由のない苛つき、不器用な感情の爆発。初期衝動という感じが個人的に好きな作品でもあります。昔は大好きだった母親との関係が忘れられず、あんな風に戻れたらとどこかで思っているからこそ歯がゆさを覚えるユベール。母親との口論のシーンはもうずっとお互い叫んでいるみたいで、見てるだけで胃がキリキリする。親子関係の複雑さ、愛し合っているということだけでは解決できないことのリアルに深く入り込んでる傑作。

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ドラン監督はゲイをカミングアウトしていたり、マイ・マザーを19歳で監督したこともあって、新時代の象徴とか、若きカリスマと言われることが多いが、監督自身は、年齢やジャンルにこだわらず、フラットな目で見て欲しいらしい。僕は彼のそんな人間性も好きだ。若いのに評価されているとか、そんな事実にも自惚れず、信念を持って自分という人間をそのままさらけ出して堂々と生きている。僕には真似できそうもないけど、心の底からかっこいいと思う。新作にも期待です。

 

 

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