大学生の退屈しのぎ

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信仰のない僕にとっての聖書ーサン=テグジュペリ 星の王子さまを読んでみて

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「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」

 

めまぐるしい毎日の中で、見過ごしがちでだけど絶対に忘れちゃいけないことを教えてくれたのは星の王子さまという一冊の本だった。名前はあまりにも有名だし、知らない人の方が少ないかもしれない。僕は19歳の時に初めて読んだが、この本はやっぱり宝物みたいな本だ。

 

目次

 

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エピソード1.ゾウを飲み込む大蛇ボアの絵

「僕」は子供の頃、ゾウを飲み込む大蛇ボアの絵を書いて見せて回っていた。だが、大人たちにはそれが帽子にしか見えない。中が色で塗り潰されているから、その中に何かがあるとは考えないのだ。

僕はいつでも僕の絵第一号を持ち歩いて、これはなかなか冴えてるなと思う人に出会うと、実験してみたのだ。その人がほんとうにものごとのわかる人かどうか、知りたかったから。でも返ってくる答えは、いつも同じだった。「帽子でしょ」。そのあとは、僕はもう大蛇ボアの話も原生林の話も、星の話もしなかった。その人がわかりそうなことに合わせて、トランプのブリッジやゴルフや、政治やネクタイの話をした。するとそのおとなは自分と同じように趣味のいい人間と知り合えたと感じて、ご機嫌になるわけだ....... 参考(新潮文庫 星の王子さま 河野万里子 訳)

だが、その絵を見てゾウを飲み込むボアの絵だと瞬時に見抜く人に出会う。それが王子さまだった。王子さまは中身(目に見えない内側の世界)を見ることのできる人だった。

 

エピソード2.王子さまの旅

権力、名誉、数字、お金、、様々な星を旅した王子さまが見たのはそんなものに執着する大人たちばかりだった。誰もいない星で命令を出して権威を守ろうとしている王様。誰もいない星で「称賛」を求める大物気取り。星を管理して数を数え流だけの単調な生活を繰り返す実業家。

しかし、5番目の星で唯一友だちになれそうな人に出会う。それはガス灯を消す仕事をしている人だった。その人は誰かからの指示でやっていると言う。友だちになれそうだと思ったのは「自分以外の何かのために一生懸命やっていたから」だと王子様は思う。

 

エピソード3.秘密を教えてくれるキツネ

7番目の星、地球の砂漠でさまよっている王子様はある日、キツネに出会う。王子さまと出会ったばかりのキツネは「きみとはまだ遊べない。まだなついていないから」と言う。キツネ曰くなつくとは「なくてはならない存在になること」だった。王子さまにとってキツネが他のキツネとは違う存在になることであり、キツネにとって王子さまが他の男の子とは違う存在になることだった。

でもきみがぼくをなつかせてくれたら、ぼくの暮らしは急に陽が差したようになる。(中略)麦畑を見ても、心に浮かぶものもない。それはさびしいことだ! でもきみは、金色の髪をしている。そのきみがぼくをなつかせてくれたら素敵だろうなあ! 金色に輝く小麦を見ただけで、ぼくはきみを思い出すようになる。麦畑をわたっていく風の音まで、好きになる...... 参考(新潮文庫 星の王子さま 河野万里子 訳)

 

時間をかけてキツネをなつかせた王子さまはキツネから一つ秘密を教えてもらう。それは一番大切なことは目に見えないということだった。そして人間たちがすでにこういう真理を忘れてしまっているということも言った。そして王子さまはキツネと別れる。

 

エピソード4.王子さまのバラ

王子さまのバラは見栄っ張りでいつも王子さまを困らせた。植物なのに風が嫌だからおおいを持ってきて欲しいと言ったり、王子さまはバラのことを愛していたにも関わらず、バラの言葉を信じれなくなっていく。王子様が旅立つ日にバラは言う。「わたし、ばかだった。わたし、あなたを愛してる。」と。でもバラはプライドが高く、王子さまに行かないでと言えず「早く行って」と言ってしまう。王子さまは言葉だけを鵜呑みにして、バラの本当の気持ちをちゃんと理解していなかった。

「ぼくは、逃げだしたりしちゃいけなかった!あれこれ言うかげには愛情があったことを、見ぬくべきだった。花ってほんとに矛盾してるんだね! でもぼくはまだ、あまりに子どもで、あの花を愛することができなかった参考(新潮文庫 星の王子さま 河野万里子 訳)

 

その後、地球にやってきた王子さまは庭園にたくさん咲くバラを見て、この世に一輪しかないと思っていたバラがたくさんあったことにショックを受ける。しかしキツネと出会い、キツネが自分に「なついて」からもう一度庭園に行くと、自分のバラが特別だったことを知る。見た目が同じでも、自分が世話したバラとそうでないバラは違うということを知る。

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」参考(新潮文庫 星の王子さま 河野万里子 訳)

 

エピソード5.星が綺麗なのは

砂漠に不時着して飛行機を直しながら王子さまの話を聞いている僕は喉の渇きが限界にまで達していた。そんな夜に砂漠に寝転がっていると王子さまは「星々が美しいのは、ここからは見えない花がどこかで一輪咲いているから」だと言った。そして続けて「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつ、かくしているから」だと言った。

砂漠を歩き続けると、井戸があった。僕が井戸から水を汲んで王子さまに渡すと「この水が飲みたかったんだ」と王子さまは言った。王子さまは僕が王子さまのためだけに汲んだ水だから、飲みたいと思った。

王子さまはバラに「責任」があるから自分の星に帰らなくてはならなかった。夜になったら星を見てと王子さまは僕に言った。見た目ではどれが王子さまの星か分からないけど、だからこそ全部の星を見ても王子さまの星を思い出せるからその方がいいと言った。王子さまがいなくなって僕は寂しかったが、星を見るのが好きになった。

 

 感想

僕自身「星の王子さま」の言葉が好きで、本のほとんどの箇所に線を引いて、言葉をメモしている。想像力を持って内側を考えて生きること、見えない部分に思いを馳せること。誰もが大切だと当たり前に知っていてもできないことをこんなにも内包した寓話はきっと他にない。これを読んだ後はきっと誰もが世界がどこか優しく感じるはず。これを是非この話に出てくるような「大人たち」に届けたい。見栄っ張りで「大事なこと」を何も知らない大人たちが読んで欲しい。そして何より僕自身がそうならないために、人生を指南してくれる聖書として一生側に置いておきたい本だと思う。