大学生の退屈しのぎ

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スピッツ「冷たい頬」の歌詞の意味を考察する

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冷たい頬

冷たい頬

  • provided courtesy of iTunes

 

音楽が好きで詳しい人にもそうでない人にも幅広く愛されているスピッツ。30年を超えるその長いキャリアの中でも「冷たい頬」は僕のお気に入りの曲です。

タイトルからも別れの曲なんだろうなということは推測できるけど、今回は「冷たい頬」は改めてどういう曲なんだろうと考えていきます。

 

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「君」との関係の現実に気づく主人公

「あなたのことを深く愛せるかしら」

子供みたいな光で僕を染める

風に吹かれた君の 冷たい頬に

触れてみた 小さな午後

 「あなたのことを深く愛せるかしら」という言葉だけだと、彼女とも片思いしてる好きな人ともとれますね。「風に吹かれた冷たい頬」が、風に当たって冷えた頬が恋愛における熱を持っていないことを暗示しているととれるので、個人的にはこの温度差的に片思いで妄想の恋愛に狂ってしまった主人公が「君」との温度差に気づく(冷たい頬に触れる)ということなんじゃないかと思います。

「子供みたいな光で僕を染める」というフレーズから、「君」はそんなことを無邪気に冗談めかして言っているように聞こえます。そしてそんな「君」の頬は恋愛に熱を上げている自分とは違い、冷えています。

 

幸せな妄想に耽溺していた

あきらめかけた 楽しい架空の日々に

一度きりなら 届きそうな気がしてた

誰も知らないとこへ 流れるままに

じゃれていた 猫のように

自分の妄想の中で描いている楽しい日々も、ずっと妄想していると、本当に起こりそうな気がしてしまう(これは割とあるあるだと思う)。このままいけば「君」が手に入るんじゃないかと失恋の予感に気づかないふりをして日々を過ごしている。

 

叶わない「君」との現実を妄想で補填する

ふざけすぎて 恋が幻でも

構わないといつしか思っていた

壊れながら 君を追いかけてく

近づいても 遠くても 知っていた

それが全てで 何もないこと

時のシャワーの中で

妄想で勝手に恋愛を進めるうちに、現実の「君」との関係に重きを置かなくなってしまう主人公。でも、当然それは自己防衛のためにそう思い込んでいるだけであって、本当は現実とのギャップに耐えられなくなっているわけです。

「それが全てで 何もないこと 時のシャワーの中で」はメロディーがすごく綺麗で好きなんですが、いろんな解釈ができそう。それが受けているのが「壊れながら君を追いかけていくこと」だとすると、一方的に君を追いかけて僕だけが狂いながら多くの時間を消費してることだけが真実だとわかってたのになあと、少し嘆いているようでもあります。

 

夢から現実へ

夢の粒も すぐに弾くような

逆上がりの世界を見ていた

壊れながら君を追いかけてく

近づいても 遠くても 知っていた

それが全てで 何もないこと

時のシャワーの中で

ここは無駄のなく文学的なこの曲の詞の中で僕が最も好きな箇所でもあります。「夢の粒もすぐに弾くような逆上がりの世界」とは、めまぐるしく回る君との日常が、「一瞬たりとも夢を見させてくれないようなもの」であり、自分の妄想とはかけ離れたものだったということ。自分の妄想だけが肥大し、その中で自分の「君」に対する願望を満たす主人公にとって、現実こそ自分を混乱させる逆上がりの世界のように見えてしまうのです。

 

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 過去に「さよなら」をする

さよなら僕の かわいいシロツメクサ

手帳の隅に眠り続けるストーリー

風に吹かれた君の 冷たい頬に

触れてみた 小さな午後

シロツメクサというのはクローバーでCとloverに分解できるということからShe lover(彼女は恋人)という解釈ができるようです(僕は妹に恋をするという漫画にそんなセリフが出てきてました)。ここであれ?付き合ってたの?と思うんですが、僕はこれは妄想の中ではもうずっと恋人だった君が、現実では自分を好きではないということに気がついて、「さよなら」をするという意味だと解釈してます。「手帳の隅に眠り続けるストーリー」も、今までの流れに沿うと妄想で手帳にメモしていた君との物語は叶うことなく封印されるということでしょう(現実の思い出だったら、手帳の「隅」には書かないような気がする)。この歌詞のところが現在で、出だしの部分が過去の「君の気持ちに気づいた瞬間」、そして真ん中の部分はそれ以前の自分の「君を追いかける様」を振り返っている曲だとわかります。

 

まとめ

色々な解釈を見たんですが、冷たい頬だから死別とか別れた彼女との回想とか色々ありました。様々な解釈が可能であるからこそ、僕もこの曲の解釈を考えてみようと思ったわけなんですが、言葉選びが秀逸な歌詞だからこんなに深読みしたりできるものなんだなあと改めて思いました。

あくまで僕は偏執的な片思いで暴走し、妄想の恋愛に溺れていた主人公が「君」との温度差に気づいたところから始まる回想録のような曲なのかなあと思いました。曲は可愛らしい雰囲気ですが、歌詞をこうして考えてみると叶わない恋愛の苦しさを凝縮したようなものにも思えます。一筋縄でいかない歌詞もこの曲の大きな魅力です。