大学生の退屈しのぎ

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大学生のうちに読んでよかった海外の文学作品の金字塔7選

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今回は以前書いた日本の文学作品のオススメ記事の海外版です。

www.neatnobibouroku.info

 

日本以外の国の作品ということであとは時代も何も問わず、とにかく面白くて「自分の人生が変わったような感覚が強く残ったもの」を中心に選びました。

 

目次

 

 

1.赤と黒/スタンダール

 

 

フランス出身の小説家スタンダールの代表作。

人妻に恋をしてしまう野心家の青年を描いた話。

 

(あらすじ)

主人公ジュリヤン・ソレルは製材小屋の家に生まれた華奢な青年で、兄や父から虐待されていた。

だが彼は美貌と明晰な頭脳を持っており、ある日町長のレーナル氏にその能力を買われ家庭教師として雇われることになる。

ナポレオンに憧れブルジョワ階級に激しい軽蔑を抱いているにもかかわらず、レーナル夫人に恋をし誘惑してしまう。

 

フランス文学お決まりの若い青年が人妻に恋する小説ですが、これはそんなに硬くない文章でスッと読めます。ドロドロした恋愛とジュリヤン・ソレルの異常な野心や金持ちに対する冷たい視線...。どれも、時代を問わずある普遍的な感情なので入って来やすい。

 

今と違って軍人が偉い時代なので華奢であることに対するコンプレックス、家柄が重要視される時代においての上流階級の人たちの中で自分だけが貧しい生まれであることへのコンプレックスなど...主人公の劣等感と自惚れの波のような、陰鬱な青年独特の繊細な表現も面白い。

 

タイトルの「赤と黒」は様々な解釈があるけど一般的に当時の支配階級を象徴的に表しているとされ軍服のと聖職者の着衣のなのではないかと言われている。

 

2.星の王子さま/サン・テグジュペリ

あまりにも有名な本で、読んだことのない人には文学というよりは易しい絵本のようなイメージもあるかもしれないけど、読めば絶対に宝物にしたくなるよな本であることは間違いないと思う。

 

この話では、「人間たちが忘れてしまった真理」として「いちばんたいせつなことは、目に見えない」という言葉が登場する。

 

大事なのは目に見えることではなく、そこにない自分だけの価値みたいなものをいかにして見つけられるかが人生を豊かにすることに繋がるんじゃないかとこの話では言っていて、その例の一つとしてバラの例が挙げられる。

王子さまは自分の星で大事にしていたバラを置いて旅に出て地球にたどり着くけど、そこでバラの庭園を発見する。

姿・形、何もかもが自分が大事にしていたバラとそっくりでショックを受けるけど、でも王子さまは気付く、「このバラは僕が大事にしていたバラとは全然似ていない」と。

自分がそのバラを世話し、費やした時間こそそのバラをかけがえのないものにしたのであり、例え同じ見た目のバラが違う星にあったって、それは全くの別物なんだと。(ちょっとBUMP OF CHICKENの花の名っぽい)

 

「想像力の大切さ」みたいなものをわかりやすい寓話にまとめた話で、忙しない世の中に揉まれて冷たくなってしまった「大人たち」を立ち止まらせて温かい気持ちを蘇らせてくれる本

 

3.椿姫/デュマ・フィス

 

19世紀中頃のパリの社交界恋愛を描いた小説。

 

(あらすじ)

マルグリットは美しい高級娼婦で、金持ちの貴族たちを相手に大胆に遊んで暮らしていた。

だが、そんな贅沢三昧の生活を送るもどこか満たされないマルグリット。そんな時、自分を本気で心配してくれた青年アルマンに出会い、初めて誠実な愛情と幸福を知る。

マルグリットはかつての享楽的な生活を捨ててでもアルマンとの生活を選び、パリの郊外で二人で暮らすようになる。

だが、家柄を重んじるこの時代に彼らの恋愛が歓迎されるはずもなく、幸福な生活はそう長くは続かなかった。

 

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娼婦という身の上が二人を苦しめるんですが、読んでみると描かれている恋愛自体は現代のそれとなんら変わらない、本当にどうしようもない恋愛です。

身分違いの恋愛について考えさせられる場面として娼婦であるマルグリットが、本当にこんなパリ郊外で自分と二人で細々と暮らす生活に満足しているのか不安になるアルマンのこんなセリフがある。

「だってね、マルグリット、きみがいくらぼくに愛情注いでくれるからといっても、そのために宝石ひとつだって手放して欲しくないんだよ。また、いつか気まずいことがあったり、うんざりすることがあったりしたときに、もし別の男と暮らしていたら、こんなこともなかったのに、といったふうに思って欲しくないんだ。」

「それはつまり、あんたがあたしを愛してないってことよ」(光文社 古典新訳文庫 p.310,311)

 

マルグリットは

「本当に私が好きなら、私の好きなようにあなたを愛させてよ!」

と言うんだけど、男の立場からしたらだからって大事にしてる宝石や馬を売らせるような真似絶対にできないし、そんな屈辱に耐えられるはずもない。

 

こんな大恋愛を一生に一度はしてみたいなあなんて思うけど、やっぱり、人を本気で愛してしまうことって悲劇的だなあとつくづく思わされる。

 

4.若きウェルテルの悩み/ゲーテ(1774年)

 

ドイツの作家、ゲーテの絶望的な恋愛体験をテーマにした代表作「若きウェルテルの悩み」

ウェルテルという名前は今でも恋する純粋な青年の代名詞となっているくらい有名な作品。

キリスト教の教えに背いて自殺する主人公の姿は当時、若者たちの共感を呼んでしまい、自殺する若者が急増したと言う。

 

(あらすじ)

そこそこ上流階級の青年ウェルテルはロッテという娘に恋をするが、彼女にはアルベルトという婚約者がいた。

仕官の道を選び、ロッテと離れるも上司や薄っぺらい表面上の付き合いにうんざりし退職する。

ウェルテルは旅に出るが、懐かしさでロッテのいる村に戻ってしまう。しかし状況は全て以前とは変化し、ロッテはもうアルベルトと結婚していた。

アルベルトよりも自分の方がロッテとウマが合っていると確信するウェルテルで、ロッテもそう思っているが、それでもロッテと時間を重ねていくうちに自分の恋が絶対に叶わないことを知り、ウェルテルは自殺する。

 

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ぼくだけがロッテをこんなにも切実に心から愛していて、ロッテ以外のものを何も識らず、理解せず、所有してもいないのに、どうしてぼく以外の人間がロッテを愛しうるか、愛する権利があるか、ぼくには時々これが飲み込めなくなる。(新潮文庫 高橋義孝訳 p.116)

 

婚約者のいる相手に恋をしてしまったウェルテル。この小説の叶わない恋に加えて絶望的なところは、ウェルテルは文学や絵を好む感受性豊かな青年だったのに対して、恋敵のアルベルトはおそらくそういう人間の弱さみたいなものにあまり関心がないようなタイプだったこと。

ウェルテルとアルベルトで自殺について語る場面があるがアルベルトは「いったい、どういうつもりで人間はまあ自殺などという愚を犯すのかね」と言っている。

ウェルテルはアルベルトのこともいいやつだと思っていたようだが、思うに自分とは正反対の強く「正しい」男だったんじゃないかと思う。だからそんな相手に自分の愛する人間を奪われている状況というのは、自分そのものが否定されたも同然の気持ちだったんじゃないだろうか。

 

5.異邦人/カミュ(1942)

 

あらすじ

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、不条理の認識を極度に追求したカミュの代表作。新潮文庫

 

 

母が死んでも次の日に女と情事に耽り、葬式でも泣かない、挙げ句の果てに人を殺してしまう主人公、ムルソー

僕が思うに、ムルソーは常識というものに縛られなすぎていた。そんな彼の行動を見ていると、歪んだ見方なのは常識の方じゃなんじゃないかと思うほど。

例えば、母が死んだ翌日に女と関係を結ぶことが「不謹慎」だと言われるのなら、じゃあ何日後ならいいのだろう。身内が死んだら、部屋で何日うずくまって泣かなければ不謹慎だと言われるのだろうか、とか。

 

かなり難解で僕も2,3回読み直して解説も読んだのだけど、正直理解はしきれていない。でも、理解できなくても心を掴む何かがこの小説にはあると思う。

 

6.変身/カフカ(1915年刊行)

 

「ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレーゴル・ザムザは、自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっていることに気がついた。」

 

有名な冒頭から始まるチェコ生まれカフカの代表作「変身」。

 

あらすじ

グレーゴルはセールスマンで両親と妹と暮らしているが、ある日虫になってしまう。

グレーゴルは当然仕事をクビになり、家族はグレーゴルとの接し方に困惑する。

 

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この話で面白いところは読んでいくうちにグレーゴルが虫になったのは懲罰ではなく願望なんだとわかってくるところ。

社畜として身を粉にして働いていたが、グレーゴルには「こんな生活うんざりだ」と思っていることが冒頭で明かされるので、何もかもの責任を放棄するという意味で虫になったのだと思う。

ここで言う責任とはもちろん、仕事などの社会的役割もあるが、グレーゴルはそもそも「グレーゴルでいること」に疲れていたのだと思う。だからその姿形まで変わってしまった。

虫になり、他人に対する責任を放棄してしまった主人公の結末はなんとも残酷だが、これが人間関係の真理なのかもなあなんて思わされる。

 

7.初恋/ツルゲーネフ(1860)

 

ロシアの小説家・劇作家のツルゲーネフの「初恋」

 

あらすじ

16歳のウラジーミルは近くに越してきた年上の公爵令嬢ジナイーダに、初めて恋をする。

男を手玉にとりながら生きてる奔放なジナイーダ。彼女は誰の手にも落ちないように見えたが、ある日、ウラジーミルは彼女が誰かに恋に落ちたことを知る。。

 

 

この話で問題になるのはジナイーダが恋をした相手が誰だったのか。

ただ、ネタバレをしない方が絶対に面白いので、主人公とその取り巻きの男たちと同じ目線で誰なんだろう誰なんだろうと思いながら読んで欲しい。

 

初恋の瑞々しさや、人を好きになって世界が変わってしまったように呆然としてしまうあの感じ。。甘くて痛くて悲しい初恋の魅力が詰まった作品。

 

 

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