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映画「トゥルーマン・ショー」ネタバレ感想 監視社会の幸福と恐怖

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トゥルーマン・ショー

 

youtu.be

 

監督:ピーター・ウェアー

出演:ジム・キャリーローラ・リニーノア・エメリッヒエド・ハリス など

 

 

「おはよう!そして会えない時のために、こんにちはとこんばんは!」というのが口癖の男、トゥルーマン

保険会社に勤める平凡なサラリーマン...だったはずが実は彼の人生は24時間365日220カ国で放送されていた・・・というお話です。(まさにトゥルーマン・ショー(本当の人間のショー)です。)

 

ゴールデン・グローブ賞男優賞をジム・キャリーが受賞。助演男優賞エド・ハリスが受賞しており、俳優陣の演技が高く評価された作品でもあります。

 

ジム・キャリーイエスマン」「エターナル・サンシャインなんかで知っている方も多いと思いんじゃないでしょうか。

 

 

この映画の面白いところは自分が信頼していた妻、親友、友人すべてが虚構だったというディストピアユートピアの反対)的な世界観にもかかわらず、明るいタッチで描かれているところなんですよね。観ていて全く重くにならない。でもそれでも軽い仕上がりになていなくて、観た後にちゃんと考えさせられるものも残すということをやってのけたのがこの映画の秀逸なところだと思います。では以下、映画の内容に詳しく触れていきます。

 

 

 

 

 

仕組まれていた人生(ネタバレあり)

 

トゥルーマン・バーバンクは保険会社に勤める平凡な会社員です。

毎朝出勤する時は近所の人に「おはよう!そして会えない時のために、こんにちはとこんばんは!」と口癖の挨拶をしていきます。

 

自宅から出たトゥルーマンはこの日、歩いていると照明のカメラが落ちてきて不思議がります。帰宅しても妻のメリルが突然調理器具の宣伝をし、親友のマーロンもビールの宣伝を自分ではない別の誰かにしているかのような口ぶりでします。

後から明かされますが、実はこれ番組を中断してCMを入れない代わりに番組内で様々な商品を紹介しているのです。「トゥルーマン通販」で番組内のあらゆるものは購入可能となっているのでした。

 

さて、トゥルーマンは幼少期から探検家になることを夢見ていました。しかし幼い頃父とヨットで出かけた際に嵐がやってきてトゥルーマンは溺れ、父が亡くなるという体験をしたせいで水恐怖症になってしまいます。そのせいで今まで島を一度も出たことがありません。

しかしそんなトゥルーマンがある日、親友のマーロンに「フィジー島に行きたい」と打ち明けます。これには理由がありました。

トゥルーマンには今の妻メリルと結婚する前、大学時代に好きだった女性がいました。しかし、シナリオではメリルと結ばれなくてはならないので、トゥルーマンはその女性とパーティーでダンスをしたくても引き剥がされてしまいます。

しかしここでトゥルーマンに運が巡ってきます。メリルとマーロンの誘いを断って図書館で残ると、その憧れの女性が向かいの席に座っていて再び会うことができたのです。

その女性に声をかけ、今度どこかに行かないかとトゥルーマンが誘うと、彼女は紙に「今しかないの」と書いて海辺へ連れ出します。二人はそこで口づけを交わすと、女性は「急がないと見つかるわ」と言い、こう続けます。

「聞いて。みんながあなたを見ていて、あなたの前で芝居をしてるの。空も海も全部舞台装置、番組の一部なのよ」

その女性はローレンという名前で通っていましたが本当はシルヴィアだと言います。言い終わると同時に車がやってきて父親を名乗る男が強引にシルヴィアを拉致してしまうのでした。その男は「フィジーで彼女を療養させる」と言います。

「私を捜しに来て」と最後にシルヴィアは言いますが、車は強引に発車し二人は引き離されてしまいます。残されたのは別れる直前まで彼女が着用していたカーディガンだけです。これがトゥルーマンがフィジーに行こうとしていた理由でした。

赤いカーディガンを手に取り、彼女のことを感じようとするトゥルーマンを視聴者は感動しながら見ています。

 

ここでこの映画の設定トゥルーマンの人生は生まれた瞬間から今まで全て放送されている」ということが明かされます。

トゥルーマンは「産みたくなかった子」の6人の候補の中から選ばれ、エコスペース社名義で養子縁組された人物です。シーヘブンと呼ばれる大きな島は全て大掛かりなセットで、エコスペース社はそれを24時間態勢で撮影していました。天候だけではなく、太陽、海なども作り物です。
トゥルーマンの両親、家族、周囲の友人や町の人たちも全員、俳優でした。セリフは全てクリストフから指示されています。

トゥルーマンの生活は『トゥルーマン・ショー』という番組名で、世界220か国、17億の人間が見守っているのでした。

 

 

立て続けに起こるありえない現象

 

次の日、カーラジオを聞いていると「エキストラ配置につけ」などの指示が混線してトゥルーマンの耳に入ってしまいます。

「周波数を変更しろ」という指示で通行人が一気に耳をふさぐ様子を見てトゥルーマンの不信感は募って行き、会社に行かずに隣のビルに行くことにします。

すると、この予定外の行動に対応できずカキワリという舞台装置の背景がトゥルーマンに見られてしまいます。

強制的に警備員に追い出されるトゥルーマン。不審に思い、親友のマーロンに相談します。「気のせいじゃないか」とマーロンは言いますが、「一応調べておく」とごまかします。

 

 

自宅でアルバムをめくっていると結婚式の写真が出てきます。トゥルーマンはよく見ると妻のメリルが人差し指と中指をクロスさせているのに気がつきます(相手に見えないようにフィンガーズ・クロスをしているときは嘘をついていることを表してます)。

翌日、看護師をしているメリルは慌ただしく家を出ようとしてます。訳を聞くと、隣のビルでエレベーターの落下事故があったと言います。

トゥルーマンはフィンガーズ・クロスの訳を聞きますが、無視され、答えてもらえません。疑惑が深まっていったトゥルーマンはメリルの後を尾けていくことにしました。

 

突然の行動に病院にいた俳優陣は焦ります。なんとかしてトゥルーマンの行く手を阻もうとしますが手術室まで来てしまいます。なんとか手術をしている様子を見せなければいけない俳優陣たちは患者役にメスを近づけようとすると、怖がった患者役が飛び起きてしまいます。

 

病院を後にしたトゥルーマンは旅行代理店に行き、今日出発のフィジー行きの便を取ろうとします。しかし受付で「旅行シーズンなので1ヶ月先まで予約で埋まっている」と言われてしまいます。

せめてシカゴまでバスで行ってやろうと思い、バスに乗り込むも車のトラブルで出発ができず、乗客は全員降ろされてしまう。

 

島から出られなかったトゥルーマンは妻メリルの帰宅を車の中で待ちます。そして近所の人たちの行動パターンが一定の法則に従って同じことをしていることに気が付いたので、メリルにその行動を予言してみせます。この街がいかにおかしいかを伝え、トゥルーマンはメリルを乗せたまま島から車での脱出を強引に試みます。

そしてニュー・オリンズへ続く橋までやってきたトゥルーマン。しかし彼は水恐怖症なので渡ることができません。そこで自分は目を瞑り、メリルに無理やりハンドルを握らせることで渡る切りました。

橋を渡りきると目の前の道路がいきなり燃え出しますが、演出なので通っても通り抜けられます。

その先にたくさんの検査員らしき人たちがいます。何が起こったのか聞いてみると放射能漏れだとして、通行は禁止されます。

そのときに検査員の一人に「トゥルーマン」と呼ばれてトゥルーマンは驚きます。自分の名前が知られていることに恐怖を覚えた彼は車から逃げ出しますが検査員にあっけなく捕まってしまうのでした。

 

 

トゥルーマンの出した結末

自宅に戻されたトゥルーマンは妻・メリルに「あなたは病気だ」と言われます。しかしその話し合いの途中にもメリルが突然ココアの宣伝をし出すのでトゥルーマンは怒ってしまいます。するとメリルは「いくら仕事だからってもう耐えられない。誰か助けて」と泣き出します。「誰かって誰だ」とますます疑いを持つトゥルーマン。すると良すぎるタイミングでビールを片手に持ったマーロンが現れます。

 

海辺に移動しマーロンと二人で話し始めるトゥルーマン。するとマーロンは「調べたら一つだけ真実があったぞ」と言い、死んだはずのトゥルーマンの父親を連れて行きます。嵐に遭遇して別のところに漂流し22年間記憶喪失のまま生きていたという設定です。父子の感動の再会に視聴者は涙します。

 

 

翌日、疑念が最高潮まで高まったトゥルーマンは逃げ出すことを決意します。妻も逃げ出して一人で地下室で眠ってしまったふりをして庭から逃げ出すという方法です。トゥルーマンは自分が寝ているように見せかけるために人形を仕込んで、寝息は録音したものを流すことでカメラを欺いていました。クリストフがマーロンに確認に行かせて初めてトゥルーマンが脱走したことが発覚します。

 

「機械の故障です」というテロップを流し誤魔化し、出演している俳優陣が総出でトゥルーマンを捜します。夜だと捜すのが困難なので仕方なく太陽を出します。

 

どこを探しても見つかりませんでしたが、クリストフは一箇所だけ搜索していない箇所があるのに気がつきます。それは「海」です。ボートのカメラをつけると案の定水恐怖症を克服したトゥルーマンがボートで漕ぎ出していました。

俳優陣は当然ボートの操作などできないので、クリストフは嵐を起こすことでトゥルーマンを引き返させようとします。トゥルーマンは海に落ち、スタッフが「死んだらどうするんだ」と止めるもクリストフはボートを転覆させるまでの高波を起こします。

 

しかしトゥルーマンは諦めませんでした。諦めないで船を漕ぎ続けるとカキワリに突き当たり、空やその先の景色が舞台装置であることがわかります。

「私は君をずっと見ていた。君はここにいる限り安全だ。ここでは何も怖いことは起こらない」とクリストフは直接トゥルーマンに語りかけます。

カキワリには階段があり、上に登ると扉が付いています。この世界から外に出る扉です。トゥルーマンは「会えなきゃこんにちはとこんばんはを」といつもの挨拶と綺麗なお辞儀をし、扉の向こうに行く決意をします。

 

視聴者は歓喜すると同時に早くも番組表をめくり、次のエンターテイメントを探しているのでした。

 

 

感想:エンターテイメントとして消費される人生とは?

 

安全で守られた生活ではなく、何が起こるかわからない真実の世界に飛び出して行くことを選んだトゥルーマン

普通だったら自分の信じていたものが全て嘘だとわかったら悲しくなると思うんですが、それよりもむしろ解放されたという清々しさに満ちたラストが印象的でした。

トゥルーマンの顔がプリントされたクッションを大事に抱えているおばあちゃんとか見てると、本当に芸能人のファンになるのとなんら変わりない心理で視聴者は楽しんでいるんですが、それがリアリティーを求めすぎて本当の人間の人生までをもエンターテイメントとして求めてしまうことに警鐘を鳴らしているようにも取れましたね。あくまで、コメディーなタッチなので見ていて全く重くなく充実感に溢れた気持ちになりました。監視社会というテーマを包含しうながらここまで優しい気持ちにする映画だったことが面白かったので、コメディーはあまり得意ではないんですが楽しめました。