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映画「震える舌」を観た。トラウマ級のカルト医療映画

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震える舌

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監督:野村芳太郎

出演:渡瀬恒彦、十朱幸代、若命真裕子

 

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出典:https://news.livedoor.com/article/image_detail/6050660/?img_id=2336826

 

 

あらすじ

郊外の団地に三好昭と妻の邦江、娘の昌子の三人家族は住んでいた。その付近には、まだ葦の茂みがあり、ある日昌子は湿地の泥の中を蝶を追って捕虫網をふりまわしていた。数日後、母の邦江は昌子の小さな異常に気づいた。食事中、昌子は食物をポロポロこぼし、トイレに立った後姿は鷲鳥のような歩き方をしている。風邪かなと邦江は心配したが、その直後に昌子は絶叫をあげて倒れる...。(Amazonプライム

 

三木卓が1975年に発表した小説を80年に野村芳太郎がオカルトホラー・テイストに仕上げた医療映画です。いやこれ、めっっっっちゃ怖かった。。あらすじ自体は破傷風にかかった娘が入院し治療を受けてなんとか回復するまで」という至ってシンプルなものなんですけど、破傷風にかかった子供を持つ親の視点に立たざるを得ない構成なので辛かったのかも。苦しいのに何もできない、「自分も感染するかも」なんて恐怖を感じつつも不謹慎で言えない、普通の幸せが自分たちにはどうして手に入らないんだという理不尽さに対する憤り、そういうものが手に取るように伝わってきました。ううん...。これを今の親御さんたちが見たら、子供を外で遊ばせるときに思い出して怖くなってしまいそう。

 

 

 

 

1.強く身勝手な父親

 

渡瀬恒彦演じる父親の昭は何て言うか、一見80年代のかっこいいと言われる「強くて決断力のある寡黙で動じない父親」というイメージそのもののような男性なんですが、娘が破傷風にかかるという出来事によってその人間味というか弱さがボロボロと出てくるのがこの作品の魅力の一つでした。

 

例えば、妻の邦江が「あなた、オムツ変えてよ」と言うシーンがあるんですが、これはお母さんがめんどくさくなったからじゃないんですよね。「あなた、いつも私にばっか変えさせようとしてたでしょ」って。それを聞いて「バカ言うな」って言いながらオムツを変えて、それを捨てるためにトイレに行くんですけど、そのオムツを捨てた後で何かに取り憑かれたみたいに必死に手を洗います、このお父さん。そしてその時の自分の必死な形相を鏡で見て我に返るというシーンがありました。

 

別に悪いことじゃないんですよね、自分の娘だからって自分が破傷風に感染するのを怖がることって。それは当然の感情であって、不謹慎でもやましくもないけど、なんかそういうことを口に出すのって身勝手な感じがする。だから父親としてそういうところを見せないようにはしてるんだけど、それでもこういう「あんまりオムツを変えたがらない」みたいな、些細なところにボロが出ちゃうんですよね。。

 

ただ、昌子が回復した時に婦長さんが「ジュースを水で割ったものでもあげたら」と言った時に、言い終わる前にダッシュして買いに行く(そして廊下で盛大にずっこける)姿は何ともほんわかしてしまいました。この映画の最初で最後の笑えるシーンと言っても過言ではないですw

 

強いふりをしながらも人間的弱さも持ち合わせて最後にこんなかっこ悪いところを大胆に披露するこの父親の存在の奥深さは、この映画の大きな魅力になってる気がしますね。

  

 

 

2.意外にもあっさりしたオチ

 

この映画、意外にもハッピーエンドなんですよね(笑)娘の昌子は回復して「チョコパン食べたい」なんて言って婦長さんたちを笑わすほのぼのシーンがあって、そこからはあっけなく日常に回帰するというエンド。今までのオカルト・ホラーばりの演出を散々見せつけられたこっちとしては、まだ何か怖いやつがくるんじゃないかと身構えて見てしまうんですが、全然そんなことはなく拍子抜けするように全てが丸く収まります。もはやそれが変態的に感じましたね。それまでずっと舌を血だらけになる程噛んでしまう描写とか、痙攣の様子とかが続くので。あの真っ暗な部屋で苦痛に悶える様子は「ジョニーは戦場に行った」を彷彿とさせる恐怖でした。

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出典:https://middle-edge.jp/articles/le260?page=2

 

 

ただ、この拍子抜けするようなあっけなさこそこの映画の不気味さの正体かもしれないです。

 

 

3.破傷風って現在は?

 

この映画を鑑賞してすぐ、破傷風についてほとんど何も知らなかったので怖すぎて調べました(笑)

 

今はもうない病気なんでしょ?とか思ってたら、2017年でも100件近い報告がある病気みたいですね。ただ、1968年に予防接種が導入されてからは症例は激減していて、発症した人の多くは45歳以上の成人だったみたいですが。

 

主な症状としては開口障害(口が開けにくくなる)とか、排尿障害(映画でも紙おむつをつけるシーンがありました)とか、痙攣みたいですね。一応、映画を観て怖くなった人のために詳しいサイトを載せておきます(笑)

 

破傷風について | メディカルノート